「皆さん、好きにやってください」とは


一芸に秀でたある先生が、ご自身の御葬式で代理人に遺言として、生徒たちに伝えるように残した最後の言葉でした。


残された生徒たちは、その後、それぞれ本当に好きに活動したとのことです。


先日、その先生の生徒だったうちの一人とお会いした際、その方が生前に先生から言われたという言葉を聞くことができました。


「好きなものをとことん追求すれば、それでいいじゃないですか。」


「競わず衒わず心動かさず、淡々とやるだけが本当に大切なことですよ。」


御葬式での言葉の意味を聞いたときに、このような言葉が思い出されたとのことでした。


「最初は、好きにして下さい。とはどういう意味かと思ったが、好きの語源は数寄と同じだということを、後になって聞く事がありました。


好き勝手にしなさいというではなく、好きなものに深く入っていく姿のこと、数寄者でいてほしいということだと理解して自分は続けてきたんですけど、先生が亡くなった後も稽古を続けていく中で、時々教えてもらっている感じがして、これで良かったと思いました。」


「人間は集団になるといろいろと問題がでてきて、1人になると寂しくなる。

あーではない、こうだと言えている現状は平和そのものです。

現地(戦地)にいくとこれしかないとわかるものらしいですが、いろいろ言えるというのも平和を味わえているということです。

そっちの方がいいんじゃないかと思います。」


いろいろな解釈で好きに行う自由がある中で、このような理解をされて学んでこられたとのこと、その行動を長年続けられてきたということが姿に滲み出ていて、本当に美しく力強く見えました。


クールな生き方に触れることができた、先日の出来事です。