夫の母が亡くなり、今、兄弟達は全員田舎の実家でキリヤという葬儀の真っ最中である。
ヒンズー教で人が死んだら行なわれるのこれは、13日間続く。
夫の父が3年前に亡くなった時もこれを行なったので私はそれがどういうものかわかっていた。
で、義母がもう長くないとわかってからは内心、これはえらい事になった、又あの時のような体験をするはめになるのか、と気が気ではなかった。なんとか生き延びてもらわないと自分が大変な目に会うのだ。
しかしその願いもむなしく、私はまたもや父の時と同じくこれを免れない事となった。
亡くなったその日は、砂糖水と果物意外、口にしてはならない。次の日から一日一回米のご飯を炊き、それにギーだけを混ぜて食べる。おかずは原則としてなしで、人によってはほうれん草などをサンフラワーオイルで炒めたのを塩無しで添えても良いという。ゆでた又は炒めたジャガイモを添えるという人も居る。とにかく塩は絶対にくちにしてはならない。あと牛乳もだめだ。ダヒ(ヨーグルト)は許されると言う人も居る。果物はいつ食べても良いとされる。
これが13日間続くのである。
私は今回は家族と一緒に田舎へ行くのは止すことに決めた。来月手術を控えている事もあって体力の維持に努めなければならないこともあったし。
それで、ネパールガンジで食事の決め事は一人で実行する、という約束で仕事に戻った。
この食事をしながら仕事をやるというのは、思ったよりつらい事がわかった。
朝、米飯をとり、仕事に行ってもおかずもダルも食べていないのですぐにお腹がすき、元気がなくなる。果物は持って行っているが、それを食べたところで一時しのぎにしかならず、一日中体に力が入らない。
仕事でミーテイングの時など、少ししゃべると疲れ、頭がくらくらしそうになる。歩くと息切れがする。
夕方帰って来ても夕飯はご飯はなく、ジャガイモのゆでたのに、青菜炒めを添えるだけである。毎日とても
疲労感が強いので8時半とか9時にベッドに入る。
今日で10日。あと3日の辛抱だ。
おやつの時間にRKがロテイとおかずを持参して来ていたが私はみんなが食べている横でだまって見ていた。
RBは食べなかった。どうやら私に気を遣っているらしかった。テクニシャンのR君がチャットを買ってきた時も彼は食べなかった。それに最近は以前のようにおかずを持って来ることは無かった。私がキリヤに入ってから、彼は私の前でおやつを食べる事はせず、どうやら外出して外で済ませて来るらしかった。
その配慮が私には嬉しかった。
食事のほかにもいろいろ守らなければならないことがある。毎朝水浴びをし、衣服は新しく買った木綿のサリーだけを下着も何も着けずに直に身にまとう。
これは職場に行っている私にはできないので、家に居る時だけこのサリーを着る。上半身は要するに裸で、胸だけは布のはしを肩にかけるところで隠すようにしないといけないのだが、どうも慣れないせいかうまく着られない。
胸があらわになってしまいそうになったり、サリーのひだを取ったところがはだけて落ちてしまったりする。
でもこれを着るのはちょっと快適なのだった。木綿なので着心地よく、背中は開けっ放しなので涼しい事この上ない。寝るのにも楽である。鏡を見て、やせぎすの私は、なんだかガンジーみたいだな、と苦笑いしたのだった。