ロッドを曲げないようにして | HARDYを楽しむ方法

HARDYを楽しむ方法

HARDYを「人生」と置き換えてみる。

 ロッドを曲げないようにして投げる、何処かで聞いたような台詞だが、遠くまで投げたいと思う方々には、なかなか理解し難い表現かもしれない。この奥深い言葉を、どれだけの人が理解しているだろうか? ロッドは勝手に曲がるもの。それを強引に曲げようとするからコントロールを失って、結果、遠くに飛ばない。特にクランやバンブーロッドなどのスローでしなやかなアクションであれば、より、ロッドを曲げないようにして投げた方が良い。誤解のないように言うが、ロッドの反発力無くしてラインは遠くに飛ばない。ロッドは曲がれば曲がるほど、ラインを遠くに飛ばすことができる。矛盾しているのか? いや、私が言っているのは、自分で曲げるなと言っているだけである。

 適度なテンションは必要だが、自分が投げたいと思う方向に体が向くまで、ロッドを曲げないようにして、スイープしてくる。そのことに気付くのは非常に難しいし、恐らく誰も教えてくれないと思う。なぜ、曲げないようにゆっくりとスイープするのか? それは、ロッドのティップではなくて、バットから曲げたいがためである。ロッドは自分の腕力で早く振れば、残念ながらバットからは曲がらなくて、ティップだけが曲がる。しかし、ゆっくりロッドを曲げないようにしてスイープすれば、ライン重と水面張力で、ロッドは勝手に全体が湾曲する。つまり、バットから曲がるのである。そしてさらに、大きく角度変換するために、バックキャストは上流側ではなくて、自分の真後にもってこなければならない。早く振ると、ファーストアンカーの位置が滑らず、そのまま強引にバックキャストすると、必ずやラインは自分とぶつかって、自分を釣ってしまうことになる。

 だから、できるだけ強すぎず弱すぎず、バランスのとれたテンションのまま、スイープの最終位置を自分の投げたいと思う方向の、右斜め前まで持ってこなければならない。そして、その位置こそがセカンドアンカーの位置となる。意外かと思うが、アンカーの位置は、案外自分に近くなる。角度変換を伴う場合は仕方がない。自分に近ければ、その分バックループが大きくなる。そのパワーが飛距離を生むのだ。勿論、背後に障害物がある釣り場では、アンカー位置を遠くにして、バックループを小さくコントロールする。バックループを自由自在にコントロールすることが重要だ。

 ここでは、アンカーが切れないように、ロンチの位置を高くする。トーナメンターが両腕を高く突き上げるのは、アンカー切れを防ぐためである。遠投するには、間違いなく、バックループをVループにする必要がある。Vループにすると言うより、遠くに飛ぶ時はVループになっていると言うのが正確な表現だ。Dループじゃダメですか? はい、Dじゃダメなんです。遠くに飛ばしたいなら、フォワードキャストでロッドを曲げることを考える前に、ループの形状にこだわって練習した方がよい。ループを尖らすには「ブロック」が欠かせない。

 フォワードに現れるループは、実はバックループ次第と言っても過言ではない。自分からはループなんて見えない。真っ直ぐに伸びた一本の線。先だけ尖っていればそれで良い。

 そして、実は、この角度変換にこそ、遠投の秘密が隠されている。トーション。スペイが回転運動だと言われる真の意味である。野球でも長距離打者は、軸がぶれずに軸で回転する。またトーションを使った投法で活躍した投手なら誰でも知っているだろう。しかし先ずは、ロッドを曲げようと力を込める自分の間違いに気付いて、ロッドは勝手に曲がるもの、ロッドを曲げないようにして投げる練習をしてみてはいかがだろうか。

 

では、また。