最後まで手放すことができないロッド3選に必ずや入ってきそうなのが、HARDY社3代目の名を背負う「W.F.HARDY」である。
私は、二種類のWFを持っていて(お気に入りは二つ持つ主義)実に甲乙付け難い。一つ目は8f6inの#6で、年代はG/T だから1985年製。当時日本の代理店だったアングラーズリサーチ社の別注のようで、「J2221」とナンバーが記されている。ロッドソックスが濃紺であるのが特徴的だが、私が以前持っていた日米向けのファントムは臙脂(えんじ)色だったから、必ずしも濃紺とは限らないのかもしれない。ちなみにWFが本国で販売された期間は短く、HARDY BROTHERS BUILT のよれば、1969年から1971年までの三年間と1980年の合計四年間となっている。
こちらは本国で販売されたWFの9f #6、年代はF/Qだから1979年製ということになる。あれ??! 製造年が?そういう事もある。私はこれを英国のディーラーからFAXなどを駆使して、購入したわけだが、当時は怖いもの知らずというか、英語が話せるわけではないのに、HARDY欲しさに、せっせと英語の商品カタログだけを頼りに海外からロッドとリールを購入していた。そのカタログの説明によると、どこかの展示品だったようで、ミントコンディションということだった。私は、その展示品というところに夢を感じて、購入を決めたのを今でも覚えている。
WFの9fは珍しいという印象。日本では7f半、8f、8f半が人気で、特に8f半は、キャスティングの師匠から、最高のバランスと言われて、どうしても手に入れたかった。
けれども、私個人としては、9fのWFは、とても良いと思う。同じく#6なんだけれども、8f6inよりしなやか。キャスティングしていると、戦前のロッドのような、例えは悪いがムチのようにしなる。ラインが巻いて出るという表現。一瞬止まったようにも見える。
美しく、それでいて実用主義。HARDY社3代目の最終にして最高傑作と囁かれる所以である。WFは、ロンドンのデザインセンターにも展示された。文字通り看板商品であったろう。
釣りを共にした回数で言えば、ダントツでWFの8半である。張りがあるので、コントロールし易く、細い藪沢でも重宝した。ああ、どちらのWFも捨て難い。困った悩みです。