System D - 見えざる巨大経済圏
パラグアイ東部イグアスの滝に近いブラジルとの国境との街、シウダート・デル・エステ(Ciudaad del Este、当地の人は単にEsteと呼ぶ )は、正規・不正規が混沌と入り乱れ加熱する国境貿易の地として名高い。
気鋭の経済ジャーナリスト Robert Neuwirthは著書「Stealth of Nations - The Global Rise of the Informal Economy」 ( 『見えざる巨大経済圏』東洋経済新報社?) の中で、ナイジェリア・ラゴス、中国・深センとここEsteの、いわゆるInformal Sector(非正規部門)を活写する。
新興国の人口急増とは、つまり若年層の急増で、無事高等教育を受け卒業したとしても、ほんの一握りの若者にしか雇用機会はなく、残りの多数派は自分で収入源を探し、開拓し、生きて行かなければならない。そのため収入につながれば運び屋でも路上の売り子でも、炎天下での家具作り・車修理など、なんでもやる。
なかには賢い者がいてユニークなビジネスモデルなどを構築して起業する者も現れてくる。
彼らのことをスワヒリ語ではJua Kaliと呼び、Jua=太陽、Kali=厳しい、つまり炎天下で働くことも厭わない非正規部門を言うが、Neuwirth はこう言った非正規部門をSysten Dと命名し、正規ではないが違法でもない、しかし、各国政府も把握しきれない巨大な経済活動が地球規模で増殖していることを詳細に報告している。
http://wired.jp/2012/04/17/system-D/
パラグアイのブラジルとの国境の街Esteのブラジルからの買出しツアーは自然発生的に始まったかと思ったら、サンパウロはじめブラジル各地から長距離バスで何日も掛けてここに来て、家電製品・電子機器・日用品・衣服等などを買い込み、またバスで帰って行き、ここはあっと云う間に巨大にDuty Free Trade Zone に成長した感がある。
日曜日にサンパウロからSiudada del Esteの国際グアラニ空港にくる途中、飛行機が着陸態勢に入ったあたりで、窓際の隣人が「Iguazu !Iguazu!」と叫んで遥か彼方を指差した。河の湾曲するあたりに低い雲のように見えるのが「悪魔ののど笛」とよばれるイグアスの滝の水煙だ。
近くで見れば、耳ではなく腹の伝わる瀑布の地響きと、天高く舞い上がり霧となって降下して雨具なしでは近づけない水煙は、この距離では全く精彩がない。
今回は、イグアスの滝の観光をしている時間はない。
昭和な南米
中南米への日本人の移民の話はとてもとても長くなるのでここでは触れないけれど、昭和40年代まで集団移民が続き、中南米の他の移民入植国と比べると比較的新しいパラグアイに入植された方々とのお付き合いがあり、いま、パラグアイ西部のブラジル国境に近くの、国境を渡ればすぐイグアスの滝というところに集団入植されておられるイグアス農協に方々に会いに行く途中で、乗継ぎためサンパウロ空港ちかくのホテルに投宿中。
アメリカ本土での乗り継ぎはいつも不快な思いをするので、南米に来るには最近はもっぱドバイ経由のエミレーツにしている。ただ、エミレーツ航空羽田発ドバイ行きの所要時間は約11時間。ドバイ乗継で約3時間。そして、ドバイ-サンパウロ間の飛行所要時間は約14時間と、これはつらい。
これまでお付き合いをしたブラジル・ボリビア・パラグアイに日本人の方々は、ほぼ例外なく、大変まじめで礼儀正しく、日本で日々ふれている日本人と何か微妙に異なり、こちらもなんとなく背筋を正して対面しなければと思わさせる何かを持っている。
あるところで、日系人二世に40歳過ぎの母が、ちょっと声を出してふざけあう10歳過ぎの男の子の兄弟を諌める場面に遭遇して驚いたことがある。若い母親は、わが子を叱るのに「あなた方は日本人なんだから、日本人らしくきちんとして、他人の迷惑になるようなことをしてはいけません!」と言い放った。
いったい、いまの日本で、たとえば公共の場でちょっと騒ぎたてる我が子に対して、こんなことを言う親はいないと思う。
南米に長く住み、ここで生まれた日本人たちの心の中は、まだ昭和のままのような気がした瞬間であった。
ブラジルに着いたら、酒はやっぱりカイピリーニャ!
カイピリーニャと云うのは、サトウキビ原料の蒸留酒でちょっとクセのあるピンガ(Pinga)をジョッキに入れ、そこに大量の薄切りライムを入れ、さらにそこにドサっと砂糖(いまどきはガムシロップ)を入れ、擂りこぎ棒でライムをつぶしてジュースを搾り出し砂糖を溶かしてそこに氷をたんまりと放り込んで出来上がり。
最近では、クセのあるピンガの代わりにウォッカを使う場合が多く、ホテルのバーなどではこちらが主流かも知れない。これはカイピリーニャではなく、カイピロス(カイピリョス)と呼ばれる。
開高健の名紀行文「オーパ」南米編に、ブラジルのバーで「Pinga, por favor ! 」 と言ってはしゃぐ文豪の描写があった。
EM菌のインチキ
進化学者の佐倉統(さくら・おさむ)氏はTwitterなどで「EM菌なんて疑似科学のかたまり、、、」などと述べていたが、昨年暮れの中央公論に「ノーベル賞とEM 菌」と言うコラムを寄せて(中央公論2014年12月号)、EM菌(有用微生物群)やそれに類するものが学校教育現場に取り込まれ、まことしやかな「科学」として教えられている現状を憂慮している。
インターネットで「佐倉統 EM菌」を検索するといくつかの記事が見られるので、試してみてください。
後進国の農業開発の話になると、必ずと言っていいほどこう云うインチキを持ち出して「肥料の買えない貧しい農民の農業生産性向上を図る」とか、「汚水処理を効率化する」などと語るヤカラが後を絶ちません。
そして、そんなインチキ話を資金援助する政府組織にも困ったものです。



