本「哀愁シンデレラ」 著者 秋吉 理香子
★★☆☆☆ (個人評価 ★多めならおすすめ)
児童福祉課で働く咲良。
母親は幼い頃に家を出ている。
祖父、父、妹と一緒に住んでいるが、すべての負担が咲良にかかっている状態。
妹の大学資金も稼がなくてはならないし、家事も行う咲良。
不幸の連鎖の中、偶然知り合った開業医の考太。
彼こそが私を幸せにしてくれる王子様だと確信する咲良だった。
哀愁シンデレラという映画がありまして。
その映画を元に書いた小説らしいです。
主人公たちの名前が違うくらいで、ほぼ内容は一緒なのかな。
映画も観る予定なのでまた違いについては書きたいと思います。
主人公の咲良は、ほんとあまりの不幸っぷりに自分だったとしても死にたくなるやろな…と思うくらい。
母親は咲良が幼い頃に、追いすがる咲良を振り切って家を出て行った。
それがトラウマとなり、自分は愛される価値がない…自己肯定感の低い女性となっている。
親友が赤ちゃんを産み幸せな家庭を築いていることで、自分も幸せになりたい…と願う。
これはわかるわ~。
親友が結婚し子供産んで…となるとそりゃ結婚願望でるよなぁ。
家では父親も妹も家事をまったくしようとしない。
仕事のあと疲れて帰ってきても食事の支度が待っている。
これはきつい。。。。
少しくらい手伝ってくれても…と思うのはめっちゃわかるわ。
たぶんうちの母親もそう思ってただろうな。
結婚してからわかる母親のありがたみ…。
咲良の望みは幸せな家庭を作ること。
それって平凡そうだけど簡単に手に入るものではないんだよね。
咲良が夕食の後片付けをしていると祖父が倒れてしまう。
慌てて病院に連れて行く途中、運転していた父が事故ってしまう。
父は飲酒をしていることを忘れてしまっていたのだ。
そこで咲良は自分が運転していたと警察に嘘をついてしまう。
ところが見物人がいたことですぐにばれる。
祖父が倒れ、父が事故り、そしてなんと家が火事に。
慌てた咲良が石油ストーブを倒してしまったからだった。
幸い全焼ではなかったため家を無くすことにはならなかった。
不幸続きのため慰めてもらおうとバンドマンの彼氏の家に向かうと浮気の真っ最中。
次の日仕事場に向かうと、事故現場で咲良が嘘をついている場面がネットに上げられていたために苦情が殺到していた。
自宅待機になる咲良。おそらく解雇処分に。
いや、どんだけ悲惨なの!!!!!
これはもう呪われているレベルの不幸やん。
家は燃えるわ仕事なくすわ、おじいちゃん倒れるわ彼氏浮気するわ。。。。
もう死にたい…と思ってしまっても誰も責められないくらいの不幸。
そんな時に偶然知り合ったのが開業医の孝太。
酔っぱらって危うく轢かれそうになっているところを咲良が助けたのだ。
実は孝太は、妻を交通事故で亡くし、小学生の娘をかかえて将来を悲観していた。
そんな時に知り合った咲良を気に入る孝太。
孝太を王子様のように感じる咲良。
二人は結婚する。
三人家族になり幸せになってめでたしめでたし…。
じゃないのよこれが!!!!!
三人それぞれに抱えている問題や、性格、状況が歯車を狂わせていく。
些細なことだったりするんだけど、嘘や不満、苛立ち等々で少しずつ幸せが壊れていく。
いや、少しずつでもないか。
わりに一気に壊れたかも。
特に誰かがサイコパスとかじゃないんよ。
普通の人。
確かに孝太は、穏やかに見えても内側には結構短気だったり不満だったり抱えている男。
でもまぁそれも特別変な人ってわけでもない。
死んだ妻は浮気していたんだけど、まぁわからいでもない感じ程度にはちょっと問題ありな男性ではあるけどね。
小学生の娘は、好きな男の子がいるんだけど素直になれない性格。
しかも裏がありそうなクラスメートの女子が親切ぶってあれこれ口や手を出してくるもんだからどんどん変な方向へと向かってしまう。
少しの性格のゆがみや嘘からどんどん泥沼にはまっていく。
そしてそれぞれの鬱屈が爆発した時、幸せに見えた家族は崩壊する。
崩壊してそして…。
ここからはネタバレになるのであらすじは書かないでおきます。
ただね、途中までは良かったのよ。
急ごしらえの家族がすぐに崩壊するのもわかるし、それぞれが抱える不満もわかる。
理解できないほどではないんだよね。
三人ともちょっと歪んだ性格ではあるけども。
なので途中までは面白かった。
どうなるんやろ…って。
けどね、ラストが納得いかんのよね。。。
こんなんなるか???
これはもう全員サイコパスになってるやん。
ここまで壊れるやろか。
まぁ咲良が壊れてしまうのは少しわかるにしても、孝太はあかんやろ。
孝太がここまでぶっこわれるのは納得いかんかったな。
ただ意外なオチなのでびっくりさせられたのは面白かった。
ひょえーーーーこうなるのか!!!と。
あまりにぶっ飛んだラストなので好き嫌いわかれるかもしれんね。
映画でも小説でもとりあえず嫌ミス好きな方は観てみてください。
私も映画の方観てみます。
どこが違うのか楽しみ。。
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