「成瀬は信じた道をいく」 著者 宮島 未奈
★★★★☆ (個人評価 ★多めならおすすめ)
滋賀県大津市膳所に住む京大生成瀬あかり。
郷土を愛し宣伝するためびわ湖観光大使になる。
今日も色々な人々に知らぬ間に影響を与える成瀬。
成瀬は京都大学に通う女子大生。
一風変わった性格をしているのだがいつのまにか周囲を巻き込み人々の人生を少しだけ変えていく。
第二弾の今回のお話のほうが好き!!
第一弾も良かったけども。
成瀬オタクの小学生、成瀬を心配する父親、びわ湖観光大使になるべく生きてきた女性、クレーマーの主婦、そして驚きのラストのお話。
どれも全て本当に面白くて夢中で読んでしまった。
滋賀に住んでいる私にとって出てくる場所がなじみ深いので楽しくて仕方ない。
今回のお話はどれも好きだけどクレームを止められない主婦は良かったなぁ。
これはおかしい…と思うことを言わずにはいられない主婦。
確かに外から見ればただのクレーマーでうっとおしくてうざい存在(そこまで言わんでも)。
でも成瀬にかかると、他の誰も気が付かない視点でそれをお店側に気付かせてくれるとても大切な存在となる。
クレームを言う自分に嫌悪感を持っていた主婦だけど、成瀬と出会うことにより世間を少し良い方向に変える役になっているのかも…と思えるようになる。
誰も言わなければ何も変わらないのは確か。
自分が短所だと思っている部分も視方を変えれば長所になりうる場合もあるんだよなぁ。
成瀬は自分の思うとおりに生きているだけなのに、成瀬と知り合う人間に少しの影響を気づきを与える。
彼女の生き方は少し難しくなかなか実践できないのだけど、もう少し楽に自分がやりたいと思うことを大事にしてもいいのかもしれんと思わせてくれる。
色々な条件を勝手に先に想像し新しい場所へと歩き出すことを怖がってしまう。
こんなことしたら恥ずかしい、誰かに知られたらいや、どうせ無理だし、等々自分で線引きをしてしまうことは多い。
成瀬はそんな自分に、ん?別に良くない?自分の人生なんだし、と教えてくれる。
小説を読んでいても、成瀬は次にどんなことをするのだろうとわくわくしてしまう。
かと言ってそこまで常識から逸脱しているわけではない。
破天荒ではあるけど、決して変なことをしているわけでもない。
でも成瀬の言動はやっぱり見ていて楽しくて自分だったらやらないだろうなぁというようなことをやってくれる。
最初からそんなん無理に決まってるという考えに凝り固まった自分を、やってみないとわからんやん、に変えてくれるのが成瀬。
ダメならダメでいいし、とりあえず思ったことはやってみようか…というほんの少し人生が楽しく思えるような生き方。
夢を持たなきゃだめ!とか、こうしなきゃだめという固定観念が成瀬にはない。
あ、無理かな~と思ったらそこで方向転換してもいい。
ただ自分が興味を持ったもの、好きなものを真ん中に置いて行動しているだけ。
これが難しいんだけどね。
成瀬も素敵だけど、周囲の人たちも本当に魅力的なのがいい。
幼馴染の島崎、成瀬ガチ勢の小学生、クレーマー主婦、その旦那、成瀬の父母、観光大使の相方、全員良い人。
成瀬の影響を受けて少し良い方向へと進んでいく。
やりたいようにやればいいよ、やらない理由はないよね?と成瀬に背中を押される人は多そう。
できれば続編読みたいなぁ。
成瀬が大人になったら就職はどうするんだろうって興味深いし。
恋愛は?とか。
とにかく成瀬が大好きになる。
実際に成瀬がいたら私は友達にはならないんだろうなぁ…。
なんせ常識と言われるものとか周囲の目とかを気にする私だし。
考えてみたらその常識ってあくまで私の中の常識であって、他の人はまた違った常識の中で生きてるだろうにね。
早く続きが読みたいです。
楽しみにしてます!
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