ある日・・・一本の電話がかかってきた。
もといた支社を辞めた社員さん。
「おどろいたら・・・いけないよ。今、ニュースで・・・○○生命が破綻した・・・」
わたしは・・・意味がわからなかった。
でも・・・その直後から・・・なり続ける電話・・・
午前中は、会議資料をつくっていて・・・支社長ですら、聞かされていなかった。
一切の業務がその場で凍結された。
翌日の新聞の一面には・・・
『戦後最大の破綻!!!』の文字。
怒り狂うお客様・・・
自分だけのことしか考えていない社員・・・
突発的なことが起きると・・・本当に「その人」がわかる・・・
それを・・・身をもって感じた。
電話で・・・罵倒され・・・精神的にもボロボロだった。
そして・・・事務処理を再開するようにとの指示が下りた。
でも・・・その処理をやったのは、私と・・・あと2人だけだった。
そのほかの10数名の社員は・・・呆然として、みているだけだった。
わたしはそのとき、「どうしよう」とは思わなかった。
今、最優先でしなければならないことに、集中した。
そして・・・
退職の日を迎えた。
でも・・・処理しなければならない仕事は、山積みだった。
わたしは、退職後も、会社に出社し・・・
残業をして、仕事をこなした。
本当に・・・全部の仕事の処理が終わったとき・・・
上司が、こういった。
「仕事ができるやつは、いっぱいいる。
でも、性格がいいやつは、そうはいない。
川上は・・・どこに行っても大丈夫だ」
今まで・・・母が亡くなったときも・・・優しい言葉のひとつもなかった上司だった。
一生懸命は必ず伝わる。
そして・・・なによりも、そんな自分を「かっこいい」と思えた。
自分が自分を認めること。
誰からの評価でもない「自分」
それが・・・一番強いと・・・私は思う。