私は、大学を卒業後、すぐにある生命保険会社の事務として働いていた。
上司は…とても厳しかった。
『返事は！』『声が小さい！』
『階段は二段おきにかけあがれ！』
まるで、軍隊のようだった。
私は、その上司とはあわなかった。
しょっちゅう、別室に呼ばれては…怒られていた。
ちょっとした冗談すら、いえなかった。
『年を取るだけの事務員は、今すぐに辞めてしまえ！』
私は、周りの誰が見ても、いじめられている状況だった。
他の人は、同じことをしても叱られない。
でも、私は、他の同僚のミスも…私のせいにされていた。
仕事の量も、前任者の三倍くらいあった。
でも残業すると怒られた。
私は、悔しかった。
だから…完璧な仕事をしようと思った。
言い訳も途中で辞めた。
ある日、社内検査の結果…私は評価で一番よい『特A』をもらった。
そして、その上司に対してなんの感情もなくなったとき、私は転勤になった。
そして、数年後、わたしのいた部署がなくなることが決まって、そこで働いていた社員は辞めなければならないということになった。
家に、そのもと上司から電話があった。
『今、自分がいる支社に来ないか？会社に申請するから』と…
結局、会社は破綻して、その話も立ち消えになった。
今、私は、その上司にとても感謝している。
私は大雑把で、細かいことや、確認すること、わからないことはすぐに人に聞いて、自分で調べるとか、考えることをしなかった。
それを、気付かせてくれる為に、敢えて厳しくしかったのだと思う。
その当時は本当に辛かった。
毎日泣いていた。
会社も辞めたいと何度も思った。
だけど…それは『逃げ』だと思った。
自分の中で、本当に完了できた時、『私の転勤』という形で、上司と離れた。
自分に起きること…すべてに意味がある。
どんなに理不尽と思えることも…それは、神様からのプレゼント。
乗り越えたら…苦しかった何倍ものプレゼントがある。
今、私が、成功しているのは、たくさんの試練を逃げなかったから。
そう…思います。
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