私が鬱になった原因の１つに
私の成育歴があるように思う。
同居していた父方の祖母の
過干渉、過保護。
私は祖母の生きた着せ替え人形だった。
支配的な祖母に一切抵抗できない父、
そんな父に腹を立てながら
黙って耐えていた母。
家業は傾き、経済的にも苦しく、
私は幼いながらも大人の事情を
敏感に察していた。
私は自然に我慢強い
良い子にならざるを得なかった。
幼い頃から自分の意志を持つことを
厳しく禁じられたのだ。
幸か不幸か私は従順な子どもだった。
子どもの意欲を奪うことも怖いけれど、
自分で自分の意志を
抑え込むのはもっと怖いことだった。
自分が何を望んでいるのか
自分自身でも分からなくなってしまった。
何をしても息苦しかった。
何をしてもぴったり来なかった。
なぜ生きることがこんなに苦しいのかが、
私にはわからなかった。
それでも私は４３年間、
生きづらさに耐え続けた。
４３才の２月のある日、
どうしても朝起きられず、
どうしても仕事に行けなくなった。
鬱病になっていたのだ。
無理を重ねていたので、
鬱はかなり進行していた。
心療内科に通い、
投薬とカウンセリングを重ねた。
急性期の辛い症状は回復したけれど、
生きづらさは相変わらずだった。
生きづらさから逃れたくて、
認知行動療法、ソウルメイト、前世療法、
瞑想、スピリチュアル等、
様々な本を読み漁った。
＊鬱に苦しんでいた頃に読んだ本
その時にインナーチャイルドという
言葉を知った。
自分の心に存在する
傷ついた幼い自分自身のことだ。
思い当たることがあったが、
でもその時は、本を読んで、
自分自身でグルグルと悩むだけだった。
そんな私が最初に外に目を向けたのは、
ヨガだった。
私はアイアンガーヨガを習い始めたのだ。
身体を芯から延ばして胸を開く、
その快さが私には新鮮な感動だった。
鈍りきった身体が蘇生していくのを感じた。
ヨガで身体を鍛え身体が楽になると、
心もだんだん楽になった。
その時はまだ生きづらさの正体は
わからなかったけれど、
心身ともに楽になった。
そして私はヨガのレッスンの帰りに
たまたま立ち寄ったカフェで
後に私のインナーチャイルドカード
セラピーの師になる
ラファエラさんに出会った。
最初はクライアントとして、
後にはセラピスト養成講座の生徒として
私はインナーチャイルドカードセラピーに
深く関わるようになった。
インナーチャイルドカードセラピーに
関わる中で少しずつ
私の生きづらさの正体が見えてきた。
私は私のインナーチャイルドを
ずっと抑えつけて生殺しにしていたのだ。
私の気持ちをもっと聞いて欲しい。
私がどうしたいのかに耳を傾けてほしい。
私が欲しいものが何か尋ねてほしい。
好きなものを好きだと言いたい。
窒息しかけていた
私のインナーチャイルドは、
必死になって私にそう訴えて来た。
そうかそうだったのか！
私を苦しめていたものの正体が見えると
どうして生きづらさを解消するかも
少しずつ見えてきた。
私は勇気を出して、
ずっとやってみたかったことをやった。
ずっと行きたかった所に行った。
ずっと会いたかった人に会いに行った。
少しずつ少しずつ心が楽になった。
心がワクワクするようになった。
明日が待ち遠しくなった。
毎日が楽しくなった。
鬱になってよかったとは思わないけれど、
鬱になって初めて自分に向き合えた。
鬱は私に本心を抑え込むことの
怖さを教えてくれた。
鬱は私のインナーチャイルドからの
SOSだったのだ。
＊鬱・夫の死を克服した作家
＆インナーチャイルドカードセラピスト
村川久夢（むらかわ くむ）
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