訓練に対する考え方 | つまづいても 犬たちとのエブリデイ

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ひとりの やや元気すぎるおばちゃん訓練士の、ドタバタな日々のブログです。

少し堅いタイトルの今日のブログ得意げ

そうさ 私の仕事は 訓練士わんわん

たまには おばさんのつぶやきから脱して プロフェッショナルな話もしておかんとただのお馬鹿なおばちゃんのブログになっちまうじゃんねぇ叫び


今 いろいろな訓練の考え方・方法があると思うのだけど、私が修行していた頃というのは いわゆる軍用犬(ふるシラー)の流れのような訓練方法が主流だったと思います。犬種もシェパードが主だったことにも関係しているとは思いますが 強制訓練があたりまえでした。そんな中 私の師匠の考え方はその当時では珍しい陽性強化を優先した訓練を重んじていたと思います。もちろん 高等訓練をしている犬はとことんまで追いつめるような訓練もしていましたが、あくまでも犬の心理を読みながら訓練を進めていました。

そんな師匠に師事したお陰で自然に犬の心理を読むと言うのは私の中では当たり前の事になっていきました。

近年 『犬を叱らない訓練』というのが 外国のトレーナーの影響なのか流行っています。・・・・が 理想論のように感じることがあります。

確かに犬を叱らないで訓練をすることは理想なのですが、犬の深いところを知らないインストラクターなどという肩書きの人間が 声高らかに「体罰は絶対にいけない」など言っているのを聞くと『ふざけんなよ』と思ってしまいます。

叱らず褒めて訓練をするのが 合う犬 と 合わない犬 が居ることを考えずに訓練を進めれば今の問題行動が強化されてしまうこともあるのだということを知らないトレーナーもたくさんいるのです。

どんなにいい犬でも、叱らなければいけない場面には絶対 遭遇するはずです。その時に何らかの形で『拒否』の意志を伝えなければなりません。その『拒否』のしかたが『無視』するだけで伝わる子もいますが それでは伝わらない子もいるのです。

私の所には いろいろな問題行動を抱えた犬が訓練に来ています。

そんな犬達にいきなり積極的な訓練はしません。まず その子を観察し性格の把握に努め、心のリハビリの必要な子には形のある訓練よりも先に心を健全に戻す事に重きを置いていきます。

飼い主さんは なるべく早くいい子になって欲しいと希望されますが、たくさん話をして理解をしていただけるように努力をしています。

ある2頭の犬のお話をしましょう。

NanaとJoyは保健所に保護され 愛護団体の方にレスキューされた犬です。新しい飼い主さんの所に行くために訓練に預けられました。2頭とも表現のしかたは違いますが心に傷を負っていました。お預かりしてすぐに担当はyumiちゃんに決まり、彼女は毎日所長や私の指示を仰ぎながら2頭の訓練を進めていきました。

Nanaは一見 人なつっこく見えるのですがチョットこちらが踏み込んでいくとパニックを起こしました。Joyは人間を全く信用していないと言うことを全身からオーラのように溢れさせていました。彼らの人間不信を取り去り 家庭犬としての良い資質を呼び戻すのには長い時間が必要でした。幸いオーナーさんは犬の事を最優先に考えてくださりyumiちゃんの愛情を受け少しずつ人間の事を受け入れてきました。

今の2頭はどうなったか・・・・・信じられないくらいの甘えん坊キャンディーニコニコ顔でしっぽをブンブン振って走り寄ってきます。Joyなんてはじめは目が釣り上がってすごく怖い顔をしていましたが 今はたれ目のデレデレboyです。

身体のどこを触られても「もっと もっとラブラブしっぽフリフリ」と全身で甘えてきます。

悲しい身の上だった2頭は理解あるオーナー&訓練士の愛情で最高の家庭犬に生まれ変わりました。


この子達も「褒める」だけの訓練ではなく「拒否」をされるということも訓練されてきました。

訓練の事を何とかわかりやすく話したいと思いましたが深すぎてうまく伝えられません。

また 折に触れ、書いてみることにします。