「あくまでも個人の感想です」と先に言い訳を書いておきます(笑)。

小学校の理科を一言で言ってしまうと「博物学」ではないでしょうか。いろいろな事象を収集し整理・分類する、学習としては事象を知る・暗記する、でもなんとかなります。
中学受験でも出てくるモーメントやバネの単振動などの物理分野でも、現象の本質を理解することなしに、塾が工夫して編み出した「小学生でもできる問題の解き方」を覚えて使えれば、入試に対応できてしまいます。
理科を「知識の暗記科目」「計算の解法を使えるようにする科目」と考えていても、中学入試は対処可能です。

中学校以降の理科は「収集・整理・分類された事象」から共通項を抽出し、複数の現象を説明できる理論・法則を構築する(帰納)、その理論や法則が他の現象を説明できるか検証する(演繹)という、自然科学の手法に基づいた学習へとステップアップすることが求められます。
そこで知識の暗記は「単純な知識」から「相互に結びついた体系的な知識」へのバージョンアップが必要になり、「計算の解法」はその背景にある「抽象的な法則への理解」が求められるようになります。そして、現象論と法則・理論の間で「帰納」と「演繹」を繰り返し理解を深めていくことが、学習の本質となります。

小学校の時に理科を「知識の暗記」「計算解法の使い方」の科目と考えていた生徒でも、「帰納と演繹を行き来しながら理解していく科目」であると意識的・無意識的に「ギアチェンジ」できる生徒は、そう問題なく中学高校の理科に入っていけると思います。

では、ギアチェンジができない生徒は?
努力家だったり、記憶力が優れていれば、「暗記」と「解法使い」で誤魔化せます…中学のうちは。
高校に入り、いよいよ「理論への理解」の比重が高まり、理論も抽象度が増すに伴い、もれなく「化学・物理ができない生徒」になってしまう、自分はそのように考えています。

でも、高校の理科はまだ救いがあります。
「高校生物」という「知識を羅列したままでも根性で覚えれば誤魔化しがきく」科目が残されているからです。(大学でやる生物はその限りではありません。分子生物学や生化学は化学そのものです)少なくとも「高校生物」は、数理的能力が必要な物理や、抽象的な部分も多い理論化学ほどには「理論への理解」が求められません。

中学・高校でも「理科が得意」でありたいのなら、中学以後、勉強スタイルを変える必要があるのだと思います。たとえ小学校や中学受験で上手くいったやり方(理解せずに暗記)であったとしても、そのやり方は未来には続いていない、自分はそう考えています。

まとめ
・理科を暗記科目だと思っていると、遅くとも高校で行き詰ります。
・「帰納」と「演繹」を繰り返して一般化された知見に昇華していくのが自然科学です。理科の学習の本質も同じです。
・中学以降の理科の知識は「背景にある理論・法則を理解した上で覚える」という学習スタイルへ変わると良いと思います。
・「暗記科目」という認識のままでも高校理科には「高校生物」という逃げ道が、なくもないです。

P.S.
高校の理科で「物理が苦手」という人が結構いますが、先に数学の微積分を学習することをオススメします。
高校の物理では微積分を使わないでも解けるという「建前」ではありますが、物理の理論が微積分を道具として構築されている以上、「道具としての微積分」を理解せずに物理を理解する、という学習法には根本的に無理があると思います。
また、先に数学が分かっていると「数式から物理現象が理解できる」ようにもなります。

数学編