(1)選択の自由は事業所にもあるべき
私がケアマネの仕事を10年以上行っている。介護保険という制度では利用者本位という観点からサービス事業所の選択権は利用者にある。
それは介護保険以前の措置制度から考えれば当然で、当時は「行政措置」によるサービス提供で、その内容は選べないというのが建前だったからだ。
そして、利用者が事業所を選べるのと同時に、事業所も利用者を選べる契約書になっている。
文言では「本契約を継続しがたい不信行為を行った場合、契約を解除することが出来る」とある。つまりお互いに契約を解除できるという事で、これはそうあるべきだと思っている。
(2)困難ケースに思う
介護を必要とする高齢者、助けて欲しいと願い家族を支援するのは我々介護職だが、そういう高齢者や家族がすべて良い人であるかは必ずしもそうではない。
中には暴言・暴力の酷い人、虐待ケース、元反社の人など、とても対応しきれないというケースもある。
そして記事のように、実際に刃物で刺されたというケースも実際に起こっている。
このように表に出るケースもあれば、そうでない形で利用者や家族のハラスメントに晒されている人もいるだろう。
そういう人こそ行政措置が必要なのだと思う。
そしてそれを行うサービス事業所は、ハッキリ言えば優しい人でなくても良い。場合によってはそういう人を収容する施設に放り込んでも良い。
利用者や家族の「やったもん勝ち」の状況は断じて許してはならないのだ。
(3)介護職の「生きる権利」を
この先生の記事には同意しかねることも多かったが、この記事については賛成である。
一番は利用者を守る事だが、だからといって介護職員が犠牲になってよいわけがない。
「蛇の道は蛇」なのである。
こういう措置にするためにはそれなりの過程が必要であるが、人を傷つけたら、選択権の無い不自由な老後を過ごすという事を見せしめに行うという事も必要なのかもしれない。そしてそういう老後にならないように気を付けるという事を学ぶのは、次に介護を受ける我々世代だし、そういうバランスは時と共に変化していくので良い。
今までは利用者の権利ばかりが主張され、それはそれで必要だが、これからは介護職も「生存権」を貰いたいものだ。

