(1)介護保険と障碍者福祉サービス
介護と一口に言っても高齢者と障碍者は分けて考えられている。
対象者として介護保険は65歳以上の1号被保険者が利用できるサービスである。(16疾病がある場合は40歳以上でも利用できる)それに対して障害福祉サービスは、利用が必要と判断された時からサービス利用が可能になる。
介護保険が支給限度額という大まかな括りであるのに対し、障碍者サービスは利用は〇〇時間という括りで認定される。
訪問介護などを例に挙げれば、介護保険では「個人の趣向」に関わる外出は出来ないことになっているが、障碍者サービスでは例えば出勤の送り迎えとか、ライブの同行というのも出来る。
つまりは介護保険では生活に必要なサービスを提供することが目的であるのに対し、障碍者福祉サービスは自立支援という観点から考えて、必要な支援という考え方が出来るからだ。
今回のポイントはそうした趣旨が違う法の運用という事が挙げられる。
(2)65歳になったら好きなことは諦めろ?
障害者が65歳になった時は、同じサービスであれば介護保険が優先されるというシステムである。記事には費用の事が挙げられており、それは勿論だろうが、こうした制度の過渡期にいる人は、「今日からこちらの制度になりますから」という説明は受けてはいるだろうけど、納得はいかないという事なのだろう。
先の例で言えば今まで障碍者サービスでやってもらっていた個人的趣向に関わる外出はやってもらえないという事になるのだ。
現在は「障害者総合支援法」となっているが、一昔前までは「自立支援法」という名称だったと思う。
そして障害者福祉サービスでも、介護保険でも「自立支援の為に」必要なサービスという目標は同じでも、個人的趣向に関わる外出が出来る出来ないの差が出て来るという矛盾も見えてくる。極端な言い方になると、65歳になったら、自分の好きなことは諦めろと言われていると思う人がいてもおかしくない。
(3)制度は既得権にあらず
介護保険と障碍者サービスを横断的に利用するという事は、例えば補聴器などは認定を受ければ補助を受けることが出来る。義士装具も同様。だからそもそも必要なサービスの支援の在り方という視点の違いという事だろうと思う。
記事のように費用負担という面もあるだろう。
しかし「サービスを受ける権利」というものが既得権という事になってはいけないんだろうと思う。
コメントでは柔軟な対応と言う事も言われているが、どこかの時点で線引きはされる。とするのであれば今回の判決である65歳の壁というのは一つの区切りとして間違いではないんだろうと思う。