(1)別に依頼が来ないからと言って困っていない
私はケアマネの仕事をして12年以上になる。最初は利用者確保の為に色々と営業というか、顔を売って来た。ところが圏域の地域包括支援センターの研修で生意気なことを言ったことからその包括から依頼が全く来なくなった。
ある時、その包括に書類に行った時、私が生意気なことを言ったがために干した奴に会った。そいつは「私があまり受けてくれない」ケアマネだと風潮しているが、私は居宅介護支援事業所の管理者要件の経過措置が切れたらケアマネを辞めるんだ、だから受けないんだ。ケアマネをやらなくても食っていけるんだ、と堂々と言ってやった。
その人は「包括がケアマネに仕事を振ってやっている」というのがやりがいな人だった。だから私のように「振ってくれなくても構わない」という姿勢のケアマネにはどうしようもないだろう。その職員は苦笑いを浮かべていた。
このように「包括からの仕事は受けない」と堂々宣言しても、何とか受けてもらおうと突破してくる職員や、間違い電話のふりで様子をうかがってくる職員もいるから、なんだかな、という気分ではある。
(2)なぜ、ケアマネの仕事が見放されたかという事
都心部で働いている私にしてみると、ケアマネが足りないという事はハッキリ言ってあまり実感は無い。
記事を見ると2018年以降、居宅介護支援事業所の数が減っているという事だが、では実際に働くケアマネの数がどれだけ減っているのかという事の方が重要だ。
業界はこういうデータを出してくるが、実際に要介護者がケアマネが見つからず、介護難民が発生して、というデータは聞いたことが無いのだ。つまり制度としてはどこの事業所に所属していようが、ケアマネの数がいれば良い。ついでに言えばケアマネがいなくても自己作成でケアプランは作れるし、介護サービスを利用することも出来る。そういう制度的なことを言えば、ケアマネが足りないと騒いでいるのはむしろ事業所側という事になる。
ではなぜ事業所側がそういうかと言えば、介護従事者の核となる人材がこの業界を見限り、離れていくからである。
その理由については議論百出だろう。
そうなると持続可能な制度と言い難い状態がそう遠くない未来に待っているのだ。
単純に、介護の仕事というのは無くてはならない仕事である。
では身内や大切な人にこの仕事を勧められますか?という事だ。
事業所の閉鎖が相次いでいるという事は、子供に後を継がせたくないという事の他ならない。
(3)潜在ケアマネを活用?
だから一度この業界を離れた人が戻ってくるというのはハードルが高い。ましてやケアマネには有効期間があるから、復帰するにも数万円の費用を払って下らない研修を受けなくてはならない。
業界を見限った人が、そんな苦労をしてまでして、この仕事に復帰したいと思いますか?という事だ。
もしそれがあるとするならば、そのケアマネが辞めた後にどれだけ制度が改善されて働きやすくなったかという事が実感できなければ難しい。でもそんなことは無く、むしろ仕事としてのハードルは今の方がはるかに高い。
そうなると今いる職員にどれだけ辞めさせないよう機嫌を取るかという事になる。しかし最近思うのは、併設サービスである居宅介護支援事業所の閉鎖が目立つという事だ。
そもそも居宅介護支援事業所というのは赤字経営で併設サービスの足を引っ張ってきた。それでも利用者の囲い込みがあるから渋々雇っていたのだが、訪問介護も人不足でケアマネの囲い込みが無くても業務が成り立つようになっていった。ということは経営のお荷物である居宅介護支援事業所はいらない、という事になり、ケアマネが辞めたら事業所を閉鎖するところが増えてきたとみるべきだろう。
私は最初から併設サービスを持たない形で居宅介護支援事業所を行ってきた。本来あるべき姿になってきているのかもしれないとも思っている。
