(1)要支援の仕事は
私がケアマネを10年以上行ってきて依頼が来た時に、要支援を理由に断ったことは無い。しかし包括では要支援を受けてくれる事業所が少ないと聞くし、記事のように1か月以上もケアマネが見つからないという事は実際に私の地域でもあるようだ。
確かに報酬は低い。要介護の利用者に比べれば半分、もしくは3分の1である。
しかし(建前上)モニタリングの訪問は3カ月に1回だし、私の場合は委託で要支援を行っているので運営指導は要介護しか見ない。ケアプランを包括に提出して所見を貰わなければならないが、それはイコールケアプラン点検にもなるので、ある意味安心だ。
それに包括から意見を貰う事はあるが、それは意見として受け入れれば良い。提案はするが、受け入れるか受け入れないかは利用者や家族次第だ。
なのでその位の距離感で仕事ができるなら私は受け入れてきた。そうでない事業所の意見というのはそれなりにあるのだろうけど。
(2)要支援の利用者の良い面、悪い面
私の肌感覚だが、要支援で来た人のほとんどは要介護まで長い付き合いになる。要支援のままでサービス終了になった人は10年ケアマネをやってきて片手で収まるくらいだろうと思う。
という事は経営的に見れば先行投資的なものだと思っている。
それに要支援の人はサービスが大体限られている。訪問介護、デイサービス、場合によっては福祉用具や訪問看護というものもあるが、サービス内容としては一定している。
問題があるとすれば、面倒くさい利用者それなりにいることだ。
やはり要支援位だとまだまだ元気な人が多いから、自分というものを持っている。それにそぐわないと途端に敵意をむき出しにしてくるケースもある。
これは認知症とか精神疾患という事ではなく、単純に性格の問題でも表れる。一般人だってロクでもない奴はいくらでもいるのと同じで、要支援になったから、要介護になったから途端に物分かりの良い好々爺になるわけではない。むしろ意地になって介護職に食って掛かる奴はそれなりにいるものだ。
だからそういう個別案件では、やる事だけさっさとやって、後は知らんぷりでも構わない。ケアマネは御用聞きになる必要はなく、声を上げてきたときに粛々と対応すればよい。
中にはそれを不服として食って掛かる奴もいるし、私が御用聞きにならないことで契約を切られたこともある。しかしそれは次のケアマネがやりやすくなるだろうし、そのケアマネがだめでもまたその次のケアマネがやりやすくなる。
そもそも利用者はケアマネが何をしてくれるかは分からない。だからこうして経験させて、思うようになるかならないかを駆け引きしながら落としどころを探っていくという必要がある。つまり犠牲になるケアマネは絶対に存在する。
そういう事を理解した上で包括は依頼すべきなのだが、それを受け入れない包括なら、そんな依頼は受けたくないだろうと思う。
(3)包括の姿勢による
つまり要支援を受け入れてくれるか否かは地域包括の姿勢にもよるのではないかと思う。
包括の中には自分が偉いと思っている奴が一定数いる。居宅のケアマネを明らかに見下してくる。ケアマネの立場でもそういう失礼なことをされても利用者を紹介してくれる大元だから我慢して付き合うしかない。つまりここでもパワーバランスは発生する。
そんな事で包括と距離を置くには、そもそも要支援はやらないという姿勢を取るというのがスマートな手段だ。
「要支援を受けてくれない」と嘆く包括は、まず自分の姿勢から見直していくべきなんだろうと思う。まあ、居宅のケアマネも同じようなものだろうけど。