(1)ヒントにならないヒント集
まず居宅介護支援事業所の4割が人材不足を実感しているというというが、ケアマネを確保できなければそれだけの利用者で運営すれば良いだけ。
おそらく行政側は、一つの事業所が大きい、小さいは関係ない。各自治体で何人のケアマネがいて、介護を希望する利用者全てが滞りなく介護サービスを受けられる体制であれば良い。
それで日本介護支援専門員協会(日本ケアマネ協会)が「ケアマネジャーの人材確保のためのヒント集」を作成・公表したのだが、これが浮世離れして笑ってしまうレベルなのだ。
それでそのPDFだが、下記のサイトを見てほしい。
「ケアマネジャーの人材確保のためのヒント集」
https://www.jcma.or.jp/wp-content/uploads/250331R6roukenhintsyuu.pdf
具体的な取り組みについて
「人材採用の工夫」
「賃金体系の工夫」
「労働環境の工夫」
「仕事のやりがいの創出」
「介護支援専門員の業務の魅力の発信・PR」
が挙げられているが、どれもこれも中途半歩な内容だ。
いちいち反論するのはそのうち記事にするとして、今回は「やりがい」に絞って論じてみたいと思う。
(2)ケアマネのやりがいとは
そもそも、ケアマネのやりがいは皆さんはどう思っているだろうか?
私は以下のように考える。
①仕事の独立性
②介護業務のコーディネイト
いかに詳しく述べる。
①仕事の独立性
ケアマネの仕事で一番嫌なのは、制度では公平中立を謳いながら、実際には会社にいろいろと指図されることが多いだろうと思う。
これは経営する側からすれば当たり前の事。
自分の所に併設のサービスがあれば、何らかの理由をつけてそれらに結び付けなければ、そもそもケアマネを雇っている意味がない。
ハッキリ言えばケアプランなんてどうにでも理屈はつけられる。デイサービスでも、半日だけ運動できれば良いという人でも一日いた方が良いなんて言う理由はいくらでも成り立つ。訪問介護ではヘルパーが動ける時間で無理やりねじ込むなんて言う事もありうる。
つまり利用者のニーズを尊重したくても、それが併設サービスがあるとできない。(勿論、集中減算があるから全部ではないが)
そういう意味でもケアマネは独立したものでなければならない。そして居宅介護支援事業所は、介護事業の中で唯一、一人で事業を行うことが出来るものなのである。
私がこの仕事を前向きに続けていられるのは、ケアマネの公正中立という理念を忠実に行えるという環境にある。
そして社長というのは一国一城の主である。
そもそもそういう独立志向があったのかもしれないが、だからこそしっかり仕事が出来ていると思う。
②介護業務のコーディネイト
ケアマネの仕事は、介護サービスの調整役である。
利用者のニーズや解決方法は千差万別。誰一人として同じでは無い。だからその人を支援するチームも千差万別であるのは当然のことだ。
だからその人に最も適したチームを作るというのがケアマネの仕事でも重要なスキルになる。
だから併設サービスがあると、先に述べたようにそのサービスを使うように指示される場合もあるし、面倒な人であればその対処も抱えなくてはならない。
併設サービスがそうした対応についても一番優れていて、信用できるのであればよいが、往々にして経営者はケアマネを便利屋に使いたがる。それも経営者からすれば当たり前のことだ。
私のように併設サービスを持たない居宅介護支援事業所には他のサービスが営業に来る。そういう顔を合わせた担当者は大体において責任をもって仕事をしてくれるので甘えが無い。
だからコーディネイトをする上でも自社サービスを入れなければならないという事を考えずにサービス事業所を選定できるというのは、利用者の利益のためにも必要だ。「良い事業所を紹介してくれた」と言われることも多い。
本来はそのためのケアマネだと思うが、その当たり前が出来ないのが現状だろう。
(3)経営者だからこそ
今回は私が思っていることだが、これを実行できる人は少ないかもしれない。
というのも雇われる立場というのはどうしても甘えが出る。
楽な仕事で沢山の給料をもらいたいというのが本音だろうからだ。
しかしケアマネの仕事というのは報酬額が決められているから、大変な利用者でも楽な利用者でも金額は同じ。であるならば楽な利用者だけ担当させてもらいたいというのも考えることだろう。
経営者でもそういう考えはないわけではないが、それでも自己資金を投入するというのは覚悟が必要だ。
なので、私は名刺に携帯電話の番号も載せている。
それは24時間365日、いつでも相談して下さいという覚悟の表れなのだ。
「やりがい」というのはそういう覚悟の上に成り立つものだと思う。
皆さんはどう思うだろうか。