(1)在宅介護事業所の方向性が見えた
衝撃の訪問介護報酬減からもうすぐ1年たつ。この間目にした報道は訪問介護事業所の倒産・事業廃止数が過去最多というニュース。実際に訪問介護事業を行ってきた私としては、というより誰もが予想できた訪問介護事業の崩壊がまさに起こった1年だったと思う。
我が区では実は去年よりも1つ事業所が増えた状況である。それは大手が支店を出したからで、法人数としては当然のことながら減っている。
つまり介護事業はスケールメリットがないと継続できないということが明確になりつつある。しかしそれは制度継続の為には当然のことなのかもしれない。
国としては各自治体で必要なサービス料が確保できれば、事業所が潰れていくことはどうでも良い。極端なことを言えば、各自治体に1つでもあれば良いのだ。
(2)こういうのを無駄な支出だと現場は思う
そうは言っても、この1年は訪問介護のご機嫌を取るような施策も出してきた。
一時金や協働化への支援、人材確保への金銭的支援などなど。
まあ、考えられることはやっているというアピールではある。それを活用しない手はないが、だからと言ってこういう策は骨折している人に絆創膏を張るようなものだ。
本質的な課題は「介護の仕事は見限られている」という事だ。
はっきり言えば、誰が介護の仕事なんかしたがるものか、という事が定着してしまったという事だ。
それに今はどの業界でも人不足である。
数年前までは大学卒、新卒採用がが当たり前だったのが今は高卒、中途採用でもOKな大手企業もたくさんあるという。
そういう状況の中で、介護業界がどうやって人材確保できるのかという事なのだ。
おそらく無理だろう。
様々な場面で「介護職の魅力」を伝えることはしているが、そんなことで背中を押せるほどのものではない。
だからいくら立派なホームページを作ったところで意味がない。考えてみたら、私も介護の会社のホームページなんて見たことがない。みても「ふ~ん」位にしか思わないだろう。むしろ痛々しささえ感じるかもしれない。
もう一つ言えば、こんなことで人が集まるとは思えない。すでにその池には魚はいないのだから。
(3)好きにすれば良い
在宅介護というのは今後、メインになる大手が小規模零細の事業所を吸収するか、小規模零細企業が完全協働するかのどちらかになるのだろうと思う。
そうすると、そのどちらかの利用者確保という事になる。ちなみにだが、国が行っている「サービス公表」や「第三者評価」などはまったく意味をなさない。
私も見たことがないし、良いことを書いてあっても、利用者が満足するかはわからない。ついでにそれどころの問題ではない。利用者にとってはすぐにサービスを使いたいのだから、すぐに対応できるところを選ぶというのが普通である。
更に言えば頼りになるからと事業所を少なくすれば、それこそ集中減算の対象になる。
しかも去年までは、ケアマネがどこの事業所を使っているかの説明義務まで課されていたのだ。
利用者にすれば、信頼しているケアマネが使う事業所ならと一番利用している事業所を希望する。しかし多くなりすぎれば減算対象になるという、良い事業所も選べないし、悪い事業所も選べないという仕組みなのだ。
ハッキリ言えばどれだけバカなんだと思う。
とはいえ、こんなことを改善する政治的な力は介護側にはないから、こういう意見も些末なことなのだろう。
好きにすれば良いんじゃないかな、と思う。