(1)日本の外国人の介護従事者受け入れの姿勢
以前、小泉政権の時だったかEPAとかFTAという仕組みの中で東南アジアの方を介護職員として雇用するという動きがあった。これから人不足になるであろう介護職員を外国人で穴埋めしようとする取り組みだ。
介護職員の立場から言えば言いたいことは山のようにある。
なぜ、日本人が介護の仕事をしたがらなくなったのか?そして介護の仕事に進ませるような啓発はどのようにするのか。外国人の頼る前に、日本人が介護の仕事をしたいと思わせるような鳥国の方が先ではないか。そういう思いが先に立つ。
しかし一方、現場ではそんなことを言っていられない。明日働いてくれる人がいないのだ。介護の専門学校は定員割れを起こし、さらには閉鎖に追い込まれ、施設ではフロアを縮小して今ある人員で回せるだけの定員しか受け入れられない状況なのだ。
しかし明らかに日本の受け入れ体制というのは他国よりも条件が悪い。それは「質の確保」という名分で、確か4年で国家資格である介護福祉士を取得しなければならないというハードルがあった。
その時のドキュメント番組を見たが、介護の学校でインタビューを取ると、一クラス20人くらいで日本を希望する人は1人くらいというありさまだった。
その介護の学校は卒業したら、日本のみならず、数多くの国に行く。中でも人気だったのはカナダだったと思う。それは2年間働けば永住権がもらえるというもの。つまり卒業生にとって日本は憧れの場所ではないという事だ。
(2)それ以外でも
しかし日本に在留している場合や日本人と結婚している場合で、その方が介護の仕事をするという場合もある。先に挙げた例は施設で受け入れという話だったが、在留の場合はホームヘルパーの講習を受けることで訪問介護の仕事をするというケースはあった。我が社でもフィリピンの方を雇っていたことがあるし、他者では他の国の方を雇ていたという事例を聞いたことがある。
施設と違い、訪問介護における懸念は様々。
まず、自転車に乗れるかという問題。
きちんと利用者の家まで行けるのか、事故にあわないかとやはり気にはなる。
それから記録。我が社の記録はチェックだけで済むが、場合によっては起債も必要になる。それができるかどうかという事だ。
そして何よりも利用者の受け入れはどうかという問題。
我が社にいた人は性格も穏やかな人だったので、特に問題はなかったように思う。しかし他社の評判を聞くと、やはり悪い人もいる。それは日本人以上に感情を露にして利用者に不快な思いをさせるというヘルパーもいたそうだ。
在宅でヘルパーを希望する人はやはりヘルパーとのコミュニケーションを重視する人も多い。それにはある程度話せないと難しい。特に外国人と接することに慣れていない日本人ならなおさらであろう。
(3)「来ていただく」姿勢が求められる
介護人材が日本人で賄えない。日本人がやりたがらない仕事だから外国人を活用するというのは間違いではないと思う。しかし「日本で働けてうれしいだろう?」という上から目線の時代ではないという事は、当の日本人が理解すべき第一歩だと思う。
確かに日本は先進国である。街並みの奇麗さを見てみても。民度の高さや2000年を超える歴史を見ても、他国に引けを取らない、むしろ誇るべき国であることは間違いない。しかしそれと他者を見下すことは別である。
もはや働きに出る側とすれば、日本は特別な国ではない。他国の方が条件が良ければそちらに行くのは当然である。マスは「来ていただく」姿勢が求められるし、何よりも日本人が高齢者の世話をしたくなくなったという根本問題を探るべきだろうとも思う。
