(1)要介護認定のあらまし
そもそもの話だが、この認定遅れについてはケアマネもイラっとしている人は多いはず。というのも自治体や主治医の書類が遅れても何とも言われないが、ケアマネ業務が遅れることは一切許さない行政の姿勢に矛盾を感じている人は多いと思うからだ。
要介護認定を申請するのは60日前からと決められている。申請が受理されると認定調査員が実際に行き調査、プラス主治医の意見書の二つを持って審査会に入る。
まずコンピューター判定の1次審査の後に、意見書を踏まえた2次審査で要介護が決定する。
その後、利用者に送付されるという段取りである。
そこに不服があれば申し立ても出来るが、手続きが面倒なので、実際に認定期間が始まる初日に「区分変更」を行う。
不服申し立ても区分変更も、結局は認められなければ要介護度は変わらない。
要介護度は介護サービス量を決める根拠にもなる。軽く出ればサービス量は減るし、重く出過ぎればデイサービスの料金が高くなる。どのくらいが良いかは各々違うだろうが、どう出ても良いとか割という事ではないと本来は思うはずなのだが、そうもいかない。
(2)要介護と要支援
一番大きな違いは「要介護」か「要支援」かだろう。
要介護であれば居宅介護支援事業所が直接契約を結び、介護サービスを調整する。要支援であれば地域包括支援センターが契約し、居宅介護支援事業所に委託した後に介護サービスの実施となる。要支援になれば訪問介護・通所介護で回数制限もあり、利用者の意向と沿わない場合も出て来意向
特に高齢者は、自分は年を取って悪くなっているのに、なんで要介護認定が軽く出るんだと文句を言う人も出て来る。
本来であればリハビリなどを頑張った結果、要介護度が軽くなって良かったねと言いたいところだが、軽くなればヘルパーの回数を減らされるという高齢者にとっても嬉しい話ではなくなるのが要介護認定だ。
(3)ケアマネとして
60日前の申請とはいえ、書類が届かない(主治医意見書が遅い病院は割とある)ために、認定期間が終わっても新しい被保険者証が届かない時もある。そんな時ケアマネはおそらくこの位の要介護に体で来るだろうという予想の元に「暫定ケアプラン」を作成する。
運営指導ではそれもチェックされるが、個人的に役所が遅いから悪いものをケアマネが書類不備で処分されるという事には納得はしていない。役所が出来ないものはしょうがない、ケアマネの不備は処分対象という事になっている現実はもっとケアマネとして突っついてもいいんじゃないかと思うものである。
ちなみに要介護認定がどうでも、それに合わせたプランは作れるので、利用者の落胆に比べれば楽な方である。しかし要支援は受けていないという居宅介護支援事業所にすれば、要介護から要支援になってしまえば利用者を手放す事にもなる。
何かいかにもの話だが、誰にとっても得をするものではないと思うものの一つであろう。
(4)公表しても
記事のように公表しても、「申請数が多いからしょうがない」「審査会は毎日行っている」などの理由でどうにもならないだろうと思う。公表されても自治体としてはどうにもできないのだ。
出来ることとすれば認定期間を長くして審査数を減らす事くらいだろう。
とすれば、そもそも要介護認定なんて一回申請すれば、状態が変わったと判断される、つまりケアマネ的には区分変更の時期だが、そこまでいらないのではないかと思う。そうすると最初は重かった人がリハビリをして要介護度が軽くなった時はどうするんだとなるだろう。そこに対してのケアは必要だが、今度の要介護度は何だろう、今まで通りヘルパーさんに来てもらえるのかなと不安にさせるのとどちらが良いかという事だとも言える。
ケアマネとしてはどちらでも良いのだが、要介護認定が重くなった・軽くなったは担当ケアマネの移行は一切反映されていない事は明記しておこうと思う。