(1)このままでは変わらない
とにかく報道では介護職員は給料が低いという事に持っていきたいらしい。
一因としては間違いはない。しかしそれだけだろうか、という事はかみ砕いて分析しなくてはならない。
なぜ訪問介護は人が集まらないのか。
そしてニュースになるのは給料が安いという事か、ヘルパーは利用者のお金を盗んだとか、そんな話ばかり。
では、高齢者や障がい者がヘルパーに何もしなかったのか?
そういう所に目を向けないから、明後日の方向にしか考えが及ばない。
(2)高齢者は良い人ばかりじゃない
こんな利用者は嫌だ!
いわゆる問題ケース、困難ケースというものがある。
パッと考えて思い浮かぶのは「暴力・暴言系」「セクハラ系」「グチグチ面倒くさい系」「ちょっと近寄りたくない危ない人系」等であろうかと思う。
普通に考えてみて欲しい。
訪問介護のヘルパーは利用者と1対1になる。
先に挙げた問題ケースに、一人で飛び込めますか?という事。
訪問して、挨拶をしただけで何もしないのに怒鳴られたいですか?
背中を向けている時に抱きつかれたり、おしりを触られてどうですか?
ヘルパーはそうしたリスクを負っているのである。
しかもそういうことは1対1で証拠が残らない。
事業所に相談しても「次から気を付けて」くらいにしか言われない。交代して欲しいと訴えても「あなたしか人がいないから」と説得される。
つまりはヘルパーは泣き寝入りという事にならざるを得ないのである。
(3)怒鳴られ、嫌味を言われながら
ヘルパーが処分されることはあっても、利用者が処分されることは無い。
せいぜい、ちょっと注意されて終わりだろう。利用者や家族にしてみれば痛くもかゆくもない。
そういう嫌な経験をしたヘルパーは多い。
勿論、ヘルパーの仕事が楽しいという人はいる。そういう人はちょっとおしりを触られたくらいでは動じないメンタルの持ち主か、そもそもそういうケースをやったことが無い人だろう。
私は在宅の仕事を20年以上やっているが、勿論良い人も多く、楽しく仕事をさせてもらえているが、こうした問題ケースも多く担当してきた。
怒鳴られ、嫌味を言われながら、歯を食いしばりながら頑張ってきたヘルパーさんには本当に頭が下がる。
私が嫌味を言われたらどうするかと言えば、簡単に言えばやり返す。
殆どの人が雇われている立場だから、何かあっても我慢するだろう。あとでクレームという形になって、会社から怒られるのはヘルパーだからだ。私もこの仕事を始めた時はお客さんがいなくなる=収入が減る恐怖との戦いだった。しかし最近はそうは思わなくなった。
例えば一人のヘルパーが10人担当しているとする。一人の嫌な奴の為に仕事をやめるとなれば、残りの9人にまで迷惑がかかることになる。
こうした番組に嫌な高齢者の話が出てきたのを見たことも聞いたこともない。
まずそこだ。