■学士卒から取得できる「準ケアマネ」創設を
青森県立保健大学健康科学部社会福祉学科の工藤英明教授は、定められた国家資格を取得し、一定期間の勤務経験を経てからでないとケアマネの資格を取る事ができない現状の仕組みについて「1本しか養成ルートがないことが課題」と指摘。「一定程度、ルーティン化できるケアマネジメントを業務範囲とする『準ケアマネ』といえる資格を創設し、学士卒からその資格を取れるようにすることも検討してもよいのではないか」と提案した。
人手不足に危機感、「準ケアマネ」創設案も―国の検討会:ケアマネジメントオンラインより
突如として湧いてきた「準ケアマネ」問題。更新研修反対署名とともにケアマネ業界で大いにざわついている。ただでさえ「現場を分かっていない!」とイラついているケアマネにとって、この提案は気持ちを完全に逆なでした。
(1)ケアマネ資格を持っている人はどの位いる?
まず「一本しかルートが無い事が課題」というが、ケアマネの受験資格、合格すれば実務の資格は介護職から医師など様々な職種に渡る。つまり「一応、持っておこうか」くらいで取得している人は多い。
おそらくケアマネの資格を持っている人は相当数に上るだろう。ではなぜケアマネの仕事をしないのか。それはあまりにもケアマネの仕事が魅力が無いからだ。それは実務でも待遇面でも。そもそも医師がケアマネの仕事をしますか?という事。
何かのためにと思って取ったものの、今の仕事と比べても転職する気にならず、このまま今の仕事をつづけ、結局失効してしまう人は多いはずだ。
(2)「準」という安上り策が見えてしまう
「正」がだめなら「準」で、というのはよくある話。それも一様に安い報酬になる。
ケアマネの利用者自己負担論はいまだにくすぶり続けている。
「準」ケアマネの報酬がが「正」ケアマネの報酬より安く出来ればそれに越したことは無い。そんなところからも「準」ケアマネというのは都合が良い。
(3)結局のところ
要はケアマネの待遇を改善すればよいだけ。それも報酬を上げるという事ではなく、更新研修を辞めるとか、様々な運営基準減算でやる気をなくすという事を辞めれば済むだけのように思える。
よく「質」の問題という。居宅介護支援事業所も3年後には管理者が「主任ケアマネ」でなければならない。
言葉ではケアマネの上位、となるだろうが、主任ケアマネを取得するには役所の推薦が必要で、その推薦条件として「〇年は同区で勤める事」とか「区の行事に協力する事」などの要件がある。
私はそういうが嫌なので主任ケアマネを取るつもりはない。
結局のところ、ケアマネに求めることが多すぎるのだ。
ケアマネなんだからあれもやれ、これもやれ。地域包括なんちゃら、災害時のなんちゃら。介護保険内も介護保険外も、とにかく福祉の仕事なんだから人のために自己犠牲しろ。
そんな風に思われているのではないかと思う。そりゃ、人も離れる。
もっとケアマネを大事にする。これが人不足を解消する第一手だと思うが。