(1)とあるX(旧ツイッター)の投稿
「ケアマネ7人で18年間、200名近くの利用者を抱え独立型で頑張っていた。そこに市の指導「複数の事業所の紹介を求めることができる」とすべきところ「多様な事業所の紹介」と書いてあったから運営基準違反、全額返還だと。」
介護事業所の実地指導(現在は運営指導)では事業所が納得のいかない処分というのが横行していると再三再四言ってきた。
我が社でも実地指導には嫌な思いを散々させられてきた。
恨みなんてものじゃない。
これだけ大変な思いをして利用者に関わって、頑張って人の人生に寄り添ってきたのに、ちょっとしたことでその仕事がゼロになる、要するにお前の仕事は評価に値しないとされるのだ。
しかもその返金の仕組みは過誤と言って、事業所が自らミスを認め、自主的に返金するという形を取っているという事だ。
つまり「行政指導」の前段階という事。
そりゃ、やる気も無くす。
勿論、指摘される方が悪い。
しかし、指導というのは直せ、という事であって、それをもってすぐにお金を返せという今の仕組みは正しいとは思わない。
(2)公務員は間違わない?
我が国では、官僚・公務員・行政は間違いを起こさないということになっている。これを「無謬性」と言う。そして「ある政策を成功させる責任を負った当事者の組織は、その政策が失敗したときのことを考えたり議論したりしてはいけない」という信念でもある。
そもそもは間違いを犯したら大変なことになるので、そのプレッシャーが完了にはあるという事が、いつの間にか間違っていても、間違いではないという事になっていったと言われている。
(3)本当に利用者の不利益になる運営基準なのか?
この内容はケアマネが事業所を紹介する時に「複数の事業者」の紹介を求めることができるという所から来ている。これは自社のサービスの囲い込みを防ぐという役割を持っており、同時に80%以上の紹介は明確な理由が無い限り減算となる。
そこまでは良い。
ここで問題は「複数の事業所」を「多様な事業所」と変えただけで運営基準減算となり、その期間の介護報酬を全額返還しろと言うことである。
こういうことはよくある。
例えば「掲示」と「閲覧」の違いだったり。
その事で利用者にどれだけの不利益を被るか、証明する責任は行政にある。
そして運営指導とはマニュアルにもあるとおり、事業所の改善につながるものである。しかし実態はそうではない事が多い。
(4)事業者は自分たちの力不足を自覚すべし
実地指導で指摘を受け、返戻となった場合、9割9分の事業者は戦わないだろう。忸怩たる思いをしながら甘んじて受け入れることをしてきた。
大体の人は金で済むことなら波風を立てたくない。こんなことで争うのはバカらしいと思っているだろう。
それで良かったのか、と思う。
自分たちはあと何年で引退するから良いが、次を担う世代に大きな荷物を背負わせてはならないと思う。
と言っても自分たちは力不足で何が出来るわけでもないという意見が大半だろう。それならそれで良い。
衰退した未来で介護を受けるのが良いだろう。そうした時に、そうした未来を作ったのは自分たちが頑張らなかった力不足と思いながら、死期を迎えれば良いだろう。