介護というのは苦しいもの、嫌なもの。
面倒なことは出来るだけ人に押し付けたいもの。しかし貰えるものは人よりも多く貰いたいもの。
このような禁句とも言える本音と、それに蓋をした「助け合い」「思いやり」といった上辺の愛情の戦いであろうと思う。
一言で言えば「しょうがない」からやっているんだという事。
介護の仕事をしていて、何度「しょうがない」という言葉を聞いただろう。
ぼけてしまった「しょうがない」
身体が動かない「しょうがない」
おむつ交換が大変「しょうがない」
家族はこの「しょうがない」と戦っている。
介護を頼んだら介護者が楽になったという。それは当たり前で、早くから専門家に頼みましょうと私を含めて助言する。しかし介護という身内の話に他人を入れることに本人も家族もどれだけ抵抗があるだろうという事は考えなければならない。
それでどうしようもなくなって、最後の手段としての介護サービスがあるというものだ。要するに一部の「しょうがない」を金で買う事だ。そりゃ楽になるだろうし「もっと早く頼めばよかった」となるだろう。
おそらく日本の介護事情というのは、こうした家族の情を残しつつ介護サービスの利用になりつつある途上と言える。勿論家族の情は無くなって欲しくないが、核家族化した日本では限界も早い。逆に言えば、高齢者の虐待のケースを考えれば、介護サービスを入れることによってそれを防げるという面もある。
家族介護か介護サービス、どちらが正しいと白黒つける話ではないが、とにもかくにも相談の窓口は知っておいたほうが良い。
何でも知っている人は強いのだ。