自分の一番の親孝行は親よりも先に死ななかったことだと思っている。
「孝行したい時に親は無し」よく言う言葉だけど、何かの形で親孝行をしないまま、二人とも旅立っていった。
そのことについては残念ではあるし、親子の関係が必ずしも良好だったとは言えない。
親にとって自分はどんな子供であっただろうか。
中学受験に失敗し、間違いなく出来の悪い子供であったことだろう。そもそも勉強というものに興味が持てなかった。それが出来て何になる、本気でそう思っていたものだ。
勉強が出来たほうが良いと思うのは大人になってからだと思う。それは生き方の問題であり、物事の捉え方の問題であったり。
それを極めれば仕事にもつながる。
しかし成績のための勉強は好きになれなかった。
生きていてつまらないとも思った。
没頭できる趣味もなかったから生きているのが苦痛でもあった。
何となく生きるしかなかった。
そうであれば「何となく」という生き方で、何となく就職し、何となく結婚し、何となく子供が出来てというのがあればいいものの、そこに離婚してというのがくっついてしまった。
その「何となく」の中で悩み苦しみ。
そして喜びがあり。
そんな生き方でも親にとっては子供の成長や生きる姿を見ることは心配しながらも楽しみであったろうと思う。
おそらく「コイツなら大丈夫」と思って旅立ってはいないだろう。心配や思い残すことはあったと思う。
それでも自分が元気な姿で親を見送れたことは一つの大きな義務を果たせたように思う。