先日、我が社と同時期に介護事業を立ち上げた会社が事業を廃止した。たまたまそこの社長とあったので話をした。その会社は全盛期は訪問介護・通所介護・居宅介護支援を併設できた、私から見れば成功例の一つだと思うが、「ウチはケアマネには恵まれなかったよね~」と話していた。
この会社に限ったことではないと思う。
その理由
①自社のサービスを利用しない
②会社に協力しない(内部研修に参加しないなど)
③結局赤字事業
そこのケアマネを知っているが、おそらくケアマネのスキルとしては普通。
しかし、ケアマネという仕事柄、というかどのようなものかを経営者も理解できていない。
おそらく普通に会社を立ち上げた時に最初にぶち当たるのが利用者の確保が出来ないという事。
それでケアマネがいる事業所であれば仕事も回せてもらえる。
これは偏見ではなく、地域包括の相談員が堂々と言っていたことだ。
だから、ケアマネは利用者を自社に誘導することが求められる。
しかし、ケアマネ業界では自社の利益よりも利用者の利益を優先するよう言われている。それが公平公正だと。
では、自社のサービスに30人誘導した人と、5人しか誘導できなかった場合、社内の評価はどうなるか。
一般の会社なら、当然のことながら30人誘導した人の方が会社での評価の方が高くなるのが当たり前。それだけ会社の利益に供与したのだし、営利法人なら当然のことだ。
つまり制度や倫理と、制度を担う会社の目的が一致していないのだ。
ケアマネの研修で聞く愚痴の多くは、そうした不一致からくる軋轢から来ている。
ケアマネは研修やらで公平中立とか利用者の利益などを考える。
会社は自社の利益を考える。
その狭間で苦しむケアマネは多いと思うよ。
要は組織というのは「御恩と奉公」じゃないけれど、一定の貢献があって生活の安定を保障されるっていう事だと思うのだ。
組織に貢献しないのに、生活を保障しろ、待遇をよくしろと言ってもそれは通らない話。
ケアマネという職種はそれを仕組み的にできにくくなっているし、「自社の利益よりも利用者の利益を優先するよう」真面目に勉強したケアマネはその通りにしようとする。=組織への貢献が疎かになる→怒られる→自分は悪いことしていないのにと頭を悩ます、なんてスパイラルに陥るのは当然と思う。
最近は事業所加算もあり、単独のケアマネ事業所も増えてきた。それはそれで良い事と思う。
本当はケアマネ全員が単独でないと、「自社の利益」を求められることになる。
それを否定したら営利法人はやっていられない。
外面の良い事業所は、そんな事を言わないだろうが、社内での喧々諤々は何処も同じだと思うよ。
制度を信じて自社の利益よりも、なんていうやつは会社の出世を諦めることだ。
会社に貢献しない奴が偉そうなことを言うな。
これが本音だと思う。