ついにこういう事が起こったか。
この裁判は2019年11月に3人の訪問介護従事者から訴えが出た。
裁判でヘルパーが訴えた内容は
①訪問介護を担う大半の登録ヘルパーは、実際にサービスを提供した時間しか賃金が支払われない。
②移動や待機時間はほぼ無給で、利用者が突然キャンセルした時の休業手当も出ない。
→こうした労働基準法違反の状態を国が放置し、規制権限を行使しなかったのは違法だとし、介護労働者としての尊厳を傷つけられる働き方を強いられた。
それぞれ深堀する。
①登録ヘルパーについて
訪問介護に入る時間は人それぞれ。
食事の時間は集中するし、デイサービスの送り迎えもそう。逆に何時でもいいよという人は、無いとは言わないがあまりない。
つまり、訪問介護の派遣時間は集中する時と暇な時があるのだ。
従って、集中する時間は人が欲しいし、暇なときはいらない。
という事で、多くの事業所も「登録ヘルパー」という人がいる。
この登録ヘルパーという人。仕事のある時間だけ仕事をしてもらい、時給を支払う。あとは給料が発生しないというものだ。
だから、デイサービスの送り迎えだけという人は、朝の時間と夕方の時間20分だけ仕事という人もいる。しかし、1日拘束されるわけではないが、人仕事終わって、さあ、今日は終わりという事にはならない。朝の仕事を終わって、夕方までどうするかという事になる。
当然、その間に仕事があればよいが、事業所にそんな都合よく仕事が来るわけではない。そうすると事業所を掛け持ちするか、我慢するかどちらかになる。
②移動費やキャンセルについて
例えばA宅が終わった後、直接B宅へ向かう場合は労働時間内ということになり、A宅が終わった後、家に帰ってからB宅へ向かう場合は労働時間内にならないとかではなかったっけ。
それと、A宅からB宅までの移動が30分くらいかかるとか。
いずれにしても、支払いをどう設定するかが訪問介護の肝である。
例えば
身体介護 時給1700円
生活援助 時給1200円
とか言ったって、身体介護1時間の仕事がどれだけあるか。
生活援助に至っては一コマ45分というのもある。
その場合は1時間分支払ってくれるのだろうか、とか。
では、移動費をどのように設定するか。
キャンセルは?
研修の時の時給は?
訪問介護はそうした環境で行われてきたのだ。
仕事をするというのは、1か月このくらいの収入が欲しいという目論見があって応募するもので、それが約束されないのが訪問介護の登録ヘルパーというものだ。
国側は「未払い賃金の支払いは事業者の義務。原告は介護保険制度への不満を述べているだけだ」と反論した。
厚生労働省は、移動や待機時間などは労働時間として賃金を払うよう事業者を指導している。原告側は、これらの時間に事業者が給与を払えるだけの介護報酬を国は設定していないと訴えたが、国側は報酬の算定の根拠も含めて答えないまま。ヘルパーの労働実態について「調査していない。今後もしない」と答えた。(文中より)
まあ、そうだろうね。
判決は11/1だそう。結果を注視したい。