介護報酬改定について その3
「2級訪問介護員のサービス提供責任者配置減算」
これは「サービス提供責任者の質の向上を図る観点から、サービス提供責任者の任用要件のうち「2級課程の研修を修了した者であって、3年以上介護等の業務に従事した者」をサービス提供責任者として配置している事業所に対する評価を適正化する。
サービス提供責任者配置減算(新規)⇒所定単位数に90/100を乗じた単位数で算定」
※算定要件
2級訪問介護員(平成25年4月以降は介護職員初任者研修修了者)のサービス提供責任者を配置していること。
(注)平成25年3月31日までは、
・ 平成24年3月31日時点で現にサービス提供責任者として従事している2級訪問介護員が4月1日以降も継続して従事している場合であって、・ 当該サービス提供責任者が、平成25年3月31日までに介護福祉士の資格取得若しくは実務者研修、介護職員基礎研修課程又は訪問介護員1級課程の修了が確実に見込まれるとして都道府県知事に届け出ている場合に、本減算は適用しないこととする、経過措置を設けること。
サービス提供責任者は、訪問介護だけに設置され、利用者の利用申し込みからアセスメント、モニタリング、通常ヘルパーサービス、緊急時派遣、書類作成など、多岐にわたる業務を行う職種である。
要件としては
1、介護福祉士
2、訪問介護員1級
3、訪問介護員2級であって、3年以上の実務経験者
というものである。
その3番、訪問介護員2級をやめよう、というものである。
確かに理想としては介護福祉士、訪問介護員1級取得者がサービス提供責任者を行うことが理想であるとは思う。しかし、全国50000箇所の訪問介護事業所のうち、2級のサービス提供責任者は約9000人といわれている。つまり9000事業所が減算の対象となるのだ。
確かに経過措置はある。
しかし、この内容を見ると、「・ 平成24年3月31日時点で現にサービス提供責任者として従事している2級訪問介護員が4月1日以降も継続して従事している場合であって、・ 当該サービス提供責任者が、平成25年3月31日までに介護福祉士の資格取得若しくは実務者研修、介護職員基礎研修課程又は訪問介護員1級課程の修了が確実に見込まれる」とは言い切れるだろうか。
その該当者が辞めてしまう、部署を異動する、違う人が着任する、このような場合に減算になるのだろうか。
国と都道府県、保険者がそれぞれ違う見解で法律を適用して、事業所が混乱しているのは周知の事実だと思う。特にサービス提供責任者は、訪問介護の屋台骨を背負う職種である。
ただでさえ、様々な場面で矢面に立たされて、実態とすれば「やりたくない職種」という事なのだ。
それを考えれば、「資格」よりも「意欲」だ。そこに「資格取得」がついてくるかは別問題だ。なぜなら介護福祉士だから、1級だからといってサービス提供責任者に対応する勉強をしていない人も多いのだ。
介護報酬をプラス改定という表面上の報道はされていても、全国約5分の1の訪問介護事業所でマイナス改定になる可能性があるのだ。
「介護の質」という事の本質的な議論は全く聞いたことが無い。
高齢者や障害者にとって何が本当に望む介護なのかを政治・行政の側から聞いたことが無い。
今、「日曜討論」を見ていると、公務員の削減幅は人事院の話よりも削減幅を大きくするという。
それをとある政党は、公務員の反対、ストライキ(?)の根源になるとして反対だ、と言う。
介護の方で「質」の問題を問うなら、政治家も行政側も「質」の問題を民間に評価させるべきだ。
下らない上っ面で何でも決めるのはやめてくれ、実態を見てくれと声を大にして言いたい。