オーストラリアが燃えています | カイとわたしの場合~オーストラリアx自閉症xシンプルライフ

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高校生になった自閉症児カイと、シングルマザーのわたし。オーストラリアはメルボルンにて、ふたり暮らし。そんな私たちの毎日を綴っています。

日本ではカルロス・ゴーンの逃亡がニュースをにぎわせていて、オーストラリアの状況があまり報道されていないと聞きました。

 

今オーストラリアは大変なことになっています。

 

 

SBS日本語による、今シーズンこれまでの被害状況です。

 

豪山火事、今シーズンこれまでの被害

 

 

死者の数は少なくとも22人に上っています。


2019-2020年の山火事シーズン。

これまでにオーストラリア全体で少なくとも22人が亡くなり、21人の安否が分かっていません。住宅1,500軒以上が焼失し、600万ヘクタール以上の土地が焼けています。

ニューサウスウェールズ州・ACT
-17人が死亡。

-137カ所で火災。このうち60カ所で消火活動が追いつかず。

-360万ヘクタールの土地が焼ける。ベルギーを上回る広さ。

-住宅1,365軒が焼失。

ビクトリア州
-2人が死亡、21人の安否が不明。

-約50カ所で火災。

-82万ヘクタール以上の土地が焼ける。

-建物68軒が焼失。数字は今後劇的に増えると予想されている。

南オーストラリア州
-3人が死亡。

-17カ所で火災。このうち4カ所で被害が拡大中。

-10万ヘクタール以上の土地が焼ける。

-住宅88軒が焼失。

クイーンズランド州
-33カ所で火災。

-25万ヘクタールの土地が焼ける。

-住宅45軒が焼失。

西オーストラリア州
-35カ所以上で火災。このうち2カ所で被害が拡大中。

-150万ヘクタールの土地が焼ける。

-住宅1軒が焼失。

タスマニア州
-23カ所以上で火災。このうち2カ所で被害が拡大中。

-3万ヘクタールの土地が焼ける。

-住宅2軒が焼失。

ノーザンテリトリー
-5カ所で火災。

-住宅5軒が焼失。

 

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私の住んでいるメルボルンはビクトリア州です。

 

ビクトリア州の面積は、日本の本州とほぼ同じ。

そのうちの多くの地域が焼けています。

 

Infographic: The Shocking Size of the Australian Wildfires | Statista You will find more infographics at Statista

 

この図を見ても分かるように、昨年のアマゾン火災などと比べても何倍もの広い範囲が消失してしまっています。

そして、まだまだこの山火事が終息する目途はたってません。

 

国内、そして海外からも沢山の応援が届き、消防士さん達が寝る間も惜しんで山火事と戦っています。

その多くはボランティアの消防士さん達です。

 

 

昨日が一番最悪の状況と言われていて、NSW州のPenrithでは最高気温48.9Cを記録。

 

ここメルボルンでは気温が低く、今日は雨も降っているのですが・・・・

 

ここではなく、必要なところに雨が降ってほしい。

 

今回の山火事はあまりに規模が大きいので、それ自体でひとつの天気サイクルを生み出しているそうです。もう想像を超えたすごさに絶句です。

 

 

 

 

オーストラリアでは毎年夏季に山火事は発生しますが、今回のような規模は初めてです。

こんなの誰も見たことない。

 

 

この一連の山火事のニュースと共に、先住民族アボリジニのファイアープラクティショナーたちの声が紹介されるようになりました。

 

彼らはその土地を知り尽くして、安全に山を焼くスキルを持っているので、シーズンごとに計画的に焼いていくことで大きな山火事を防いでいるそうです。

 

こちらの動画は2016年に放送されたSBSのInsightという番組で、ファイヤープラクティショナーのビクターさんが話している場面が観られます。

 

35:45あたりから、ビクターさんの話。

 

ビクターさんが言うには、現代的な消防士や政府のやり方と、このアボリジニ伝統の焼き方はまったく正反対なのだそうです。

 

現代の方法、西洋的な方法では、「火事が起きた後」のことしか見ていない。

 

でも、自分たちのやっている伝統的方法は、山火事が起きないように予防するもの。

 

火に種類なんてない。火は一種類のみ、「正しい火」があるだけ。

この国に火は必要なものである。

 

ビクターさんは20年の経験を持つフルタイムのファイヤープラクティショナーで、その地域の人たちに

 

「土地を読むこと」「その土地を理解すること」

 

を教えて、安全な予防のための山の焼き方を教えているのだそうです。

 

 

彼らが火をつけるのは、その土地の「点火」ポイント。

 

動画で観てもわかるように、伝統的な方法で焼くと、普通の山火事のようにOut of Controlになってません。

地面のあたりのみが焼けていて、木のてっぺんの方まで燃え広がってない。

 

一年のうちで正しいタイミングでこの正しい「点火ポイント」に火をつけると、火がとても落ち着いた状態で正しく焼けて、中心から360度に広がっていくので、野生動物たちはちゃんと逃げられるのだそう。

 

このビクターさんのお話を聞いていて、その叡智と経験とスキルに鳥肌が立ちました・・・。

 

 

今回のオーストラリアの山火事がここまで広がったのは、地球の温暖化などによる気候変動も関係していると言われています。

人口が増えすぎて地球のバランスが崩れているのだとも。

 

 

オーストラリアはまだ比較的新しい国で、西洋人が入ってくる前は先住民族アボリジニ部族のいろいろな「国」がありました。

先住民族の人たちの時代にも山火事はあったけれど、皆それと共存して、どう対処すればいいのか知っていた。

 

 

今回の大規模山火事をきっかけに、こうした伝統的な方法を受け継いでいるアボリジニファイヤープラクティショナーたちの意見にもっと耳を傾けるべきという声が沢山上がってきています。

 

どんなに科学が発展して便利になったとしても、私たちは自然の力にはかなわないのだなと改めて感じさせられています。

 

 

今回の山火事の被害への募金と救援物資の寄付の募集が始まりました。

私も出来るだけの寄付をして、雨が降ることをずっと祈っています。

 

 

オーストラリア以外にお住いの皆さんも、一緒に祈っていただけると嬉しいです。