刑務所の受刑者と自閉症の意外な関係とは…? | カイとわたしの場合~オーストラリアx自閉症xシンプルライフ

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高校生になった自閉症児カイと、シングルマザーのわたし。オーストラリアはメルボルンにて、ふたり暮らし。そんな私たちの毎日を綴っています。

刑務所の受刑者と自閉症・・・このふたつのキーワードはどんな関わりがあるんでしょうか?


昨日届いたビクトリア州自閉症機関のニュースレターに、こんなニュースが載っていました。
 
私のつたない訳ですが、ご紹介しますね。
(日本語として自然な訳になるように、意訳した部分もありますがご了承ください)
 
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QLDの地方刑務所の試みで、受刑者たちが自閉症や障がいのある子ども達のアシスタントドッグを訓練
 
一見、ドッグトレーナーの供給元としては一番意外かも知れない。だが、このQLDでの受刑者たちによるスペシャルニーズアシスタントドッグの訓練トライアルプログラムは、大きな成功を収めた。
 
ハンクとホープは、ブリスベンの約250km北にあるこのマリーボロー更生センタートライアルプログラムの6頭の卒業生たちのうち最初の2頭だった。
 
この2頭は昨年5月にこのセンターに入り、慎重に選ばれた受刑者たちによって訓練を受けた。訓練は、このセンターの高セキュリティ部門ではなく、居住エリアにて行われた。
 
【受刑者たちがスペシャルニーズの子ども達の為に子犬を訓練する】
 
10カ月間にわたり、この受刑者たちは犬たちにさまざまなタスクを教え込む。このタスクには、車いすに関する仕事、ドアを開ける、落としたものを拾う、そして電気をつけるなどが含まれる。すべてはスペシャルニーズのある子どもと生活する為だ。
 
サンシャインコーストにあるSmart PupsのCEOパトリシア・マクアリスター氏は、訓練されたアシスタントドッグへの需要は年々高まっていて、実際に準備の出来ているアシスタントドッグの数を大幅に上回っているため、このトライアルプログラムは大きな成功だと語った。
 
「彼らは素晴らしい働きをしてくれています。まさにWin-Winの関係です」とマクアリスター氏は言う。
 
「犬たちは一般的な服従訓練を受け、公共の場へのアクセスも訓練されています。
それからお子さんの自立を助ける特定のタスクにも対応できるように訓練されるのです。
 
ここには自閉症アシスタントドッグがいて、自閉症児のメルトダウン(パニック状態)に介入したり、もし行方不明になったら捜索したり、犬と子どもが繋がれている場合は(子供が飛び出そうとした時など)「いかり」のような役割を果たしたりします。
 
Smart Pupsでは他にも、糖尿病患者のための犬や、移動支援や癲癇が起こる10分前に予測して知らせてくれる犬なども訓練しています。
またPTSDに苦しむ帰還兵のために犬を提供したこともあります。」
 
【高まる需要に対応するために】

 

マクアリスター氏によると、犬を購入して、要求されるタスクの複雑さに合わせて訓練するのに約30,000ドル(日本円で約320万円)かかると言う。Smart Pupsは政府の補助を受けていない。

2016年には、25頭の犬たちがオーストラリア国内の家族に迎え入れられたが、2017年にはその数は35頭に増えると予想されている。

犬たちを訓練するには何百時間もかかるが、刑務所の受刑者たちはさらに複雑なタスクを犬たちに訓練する時間があるのだとマクアリスター氏は言う。

彼女によると、このプログラムのおかげで増える一方のウェイティングリストにまとめて対処できるかもしれないそうだ。

 

【子犬の訓練のための受刑者ガイドライン】

 

  • 希望する受刑者が申込書に記入する
  • 受刑者の普段の行いや態度、この仕事への献身度も考慮される
  • 直近の刑務所の規則違反などがあってはならない
  • 受刑者はセンター内で雇用されて仕事を継続する
  • 犬の訓練は無償となる

 

「今約60家族が犬を待っていて、さらに新たな申し込みも毎週あるんです」マクアリスター氏は言う。

このうちの2家族はウェイティングリストに2年間載っていて、これから新しい家族、ハンクとホープをまさに迎え入れようとしているところです。」

 

この2頭の犬はどちらも自閉症児の元に送られる予定なのだそうだ。

ハンクはすでに新しい家族の元に送られ、ホープはこの数週間のうちに新居へと向かうことになっている。

受刑者たちが一般社会に戻る際に、これらが彼らにとってプラスになれば良いと期待されています。

受刑者のひとりは、刑務所から釈放されたら獣医学専門のナースになる勉強をするか、動物の世話をする仕事を捜したいと言っています。

 

 

【刑務所施設での生活における課題】

 

マクアリスター氏は施設内で犬たちを訓練することの難しさについて語った。

 

「犬たちは朝早くには外に行くことができないため、彼らを刑務所内トイレの人工芝の上でおしっこをするよう訓練しなければなりません。

大体朝8時半まで外に行けないので、それでは犬たちがトイレを我慢するには長すぎるんです。

 

犬たち外に出してあげると、長いひげを生やしてタトゥーの入っている受刑者たちを見て待ちきれない様子です。

尻尾を振ったりして、犬たちは受刑者たちの周りではとてもリラックスしています。

 

その他の問題は、受刑者たちがレジデンスから仮釈放されて、ドッグトレーナーの何人かがいなくなってしまうことです。

犬たちは新しいトレーナーにもうまく適応してくれますが、私たちも新しいトレーナーに一から教えないといけなくなります。」

 

ハンクとホープが新しい人生をスタートさせた今、このマリーボロー更生センターには4頭の子犬が訓練のために残っている。

 

マクアリスター氏によると、このうち2頭が6月に、さらに2頭は今年の終わり頃に卒業予定だそうだ。プログラムの成功によって、さらに多くの犬がその後を追うことが期待されている。

 

「私たちは受刑者たちと一緒に働けてとても楽しかったです」

マクアリスター氏は、このプログラムがQLD全土の刑務所に広がって欲しいと付け加えた。

 

元のニュース記事はこちらです

Prisoners train assistance dogs for arutism, special needs in Queenland regional jail trial

 

Smart Pupsの動画も観てみてくださいね

 

 

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というわけで、刑務所の受刑者と自閉症児という、一見関わりのないように思えるこの二者は、アシスタントドッグという存在で繋がれていたのです。

 

 

実はこのように刑務所で自閉症アシスタントドッグが訓練されているという話は、以前アメリカのニュースで知っていたのですが・・・
ここオーストラリアでも同様のプログラムが始まっていたことは知りませんでした!
 
 
 
こういったプログラムは、自閉症や障がいのある子ども達の為になるだけでなく、受刑者たちの更生にも繋がる可能性があるというのが素晴らしいなと思います。
 
やっぱり、自分は誰かの役に立っている、誰かに必要とされている存在だと感じることで、人生もう一度やり直そうと思えるのかもしれないですね。
 
犬たちによって、自閉症や障がいのある子ども達だけでなく、受刑者たちの心も癒されているんだなと思うとなんだかじーんとしてしまいました…。
 
 
うちにも自閉症アシスタントドッグがいればいいなぁ。
外出の時などとても助かると思いますし、何よりカイの一番の親友になってくれそう。
 
 
このプログラムがもっと広がって、アシスタントドッグがもっと身近なものになりますように!