前回がこちら。

35年くらい前の話です!




 

  5、動の証券

 

毎日がんばっているものの、

心はギリギリだった。

でも、総務になった。

憧れの先輩がたくさんいるし、苦手な人達(G先輩だけじゃなくて、後輩にも苦手がいたの)とも

離れられて、やっと水面に顔がでました。


総務の同期たちはいつも穏やかで、

そこにうまくなれて、私はとても嬉しかった。

その年の新入社員は、ひとまずみんな営業になったので、総務は下がいなくて、3年目でも朝の机拭きは担当だったけど、同期3人で掃除して、よく愚痴も聞いてもらっていました。

 

「静の銀行、動の証券」と言われて、

会社はとにかく忙しい。いつも時間に追われる。

お行儀が良いことよりも元気な方がウケていたかもしれません。


フロアは全員が走っている。靴音がしないナースサンダルを、女子全員が履いていました。


電話で「お忙しいところ恐れ入りますが」というと

本気で叱られた。「忙しいに決まってる。早く言え」。

社内の電話の使い方の研修の時に、一番最初に教えられた、全店共通の注意事項。


マーケットが動いている。まったなし!

 

総務課の受け渡し係は、忙しい中でも冷静で穏やかでした。

おちついて、間違えないこと、量をこなすことは大事だった。

手に負えないと思ったら、早くSOSを出すことも学びました。




これで定年まで勤められるなあ、と思ってました。

 



3年くらい勤めたら結婚退職するもんだと思い込んでいたのにね。

 

 

とても楽しかったのですが、また突然、社命は下ります。

転勤。新店舗開設準備室。

そんなの選ばれた人々と思ってたのに、落ちこぼれの私が?

マジで?

 



ひらめきその前に、なんで証券会社に入ったかな~って思いますけど、

いた短大で一番いい求人がここだったんです。

私は本音では文学研究者になりたかったけど、会社員を選んだんで、

せっかくだからいいところに行って、ちゃんとお給料が欲しかったんですね。

 

思ってたんと違ったけど。

 

途中でムリムリ方向転換したものの、もとよりバリキャリじゃないし。

かといって、ギャルではもっとないし。

(むしろギャルの方が社風に合って、ウケてました)

私はボディコンも、大変控え目な感じでこっそり着ていました。

(当時は肩パットがない服なんか、なかった)

 

このころ、ものすごく切ない片思いをしてたなあ、と

ちょっと思い出しました。

実直で、すごく素敵だったんですけど、長い付き合いの婚約者がいると知って、諦めました。