3年目に入りました。
前回はこちら。
4、総務課に異動
当時の支店の総務課は、イメージよりは表に出ている仕事だと思います。
本当の内々の仕事は総務課の中の「庶務」で、店に一人くらい。
あとは、お客様にお渡しする書類を作成したり、
お金の管理をしたり、そういう事務方全員が総務課でした。
私は「受け渡し」と呼ばれる部署になりました。
店頭で営業がお客様の清算などの用件を承ります。
計算書をプリントして、領収書をもらったり、お金をもらったり。
お金は確認後に入金機に入れて、印字したものを
「相鑑(あいかん)」とよばれるファイルに挟んで、一式揃えて受け渡しさんに持って行きます。
受け渡しでは、内容を確認して、必要な書類をつくり、
「検印」に持って行く。
「検印」が印を押したら、「現金出納」に相鑑がまわって、
「現金出納」がお客様をお呼びして、終了です。
株券などが関わる時は「本券」の係を経由しました。まだ紙の株券、紙の国債・社債が出回っていた時代で、スペシャリストがいました。紙の株券って、本当に裏に歴代株主の名前が書いてあるんですよ!古いものは手書きで。
債券の利息は、一個一個ちっちゃいクーポン券みたいになってて、支払いの時はハサミで切り取るんですよ!
そういう時代でした。
「口座」さんは、新規顧客の口座開設をする係。
あのころすでにマネーロンダリングの概念が入ってたし、マル優など非課税枠もいろいろあり、口座さんも細かい仕事が多いところでした。
その他にも、外交専属の総務、営業マン専属の総務もいて、
支店を回していました。
「受け渡し」は、流れの真ん中。なにかヘマがあっても絶対に「検印」が止めるので、
私に向いていたといえます。
ここで言う「検印」というのは役職の名前ですが、実際に「検印」もありました。
証書の最後に押すもので、朱肉で押します。
ヒラの総務課が使うのは、黒インクのゴム印。支店名、自分の名前、日付の入った回転印。総務だけでなく、営業も全員持っていて、
自分のやった仕事にはバンバン押してました。
検印は「○○証券株式会社」と社名がぐるっと囲んだなかに、自分の名前があるもの。材質もツゲのような色。もちろん、手に取ったことはありません。
「検印」にもランクがあって、名前の周りをマルで囲まれているのは、上位の人。総務課長クラスは二重マル。
総務における私のインストラクターに、マルなし検印持ちのTさんがなってくださいました。
TさんはIさんよりも一つ上で、新人を持つのは初めて。
とてもよくしてくださいました。
どんくさくても、怒らず・・・。
そろばん1級もってる、という話で、すごく頭の回転が速かったです。
Tさんと同期のKさんが、3人でがんばろうね、という感じで
中にいれてくださいました。
私が受け渡しのころの「検印」は、仕事が出来て、美男美女の二人で、みんなの憧れでした。
私はどんくさいとはいえ、まる二年、営業として相鑑を送り出してきたので、
受け渡し新人といっても、そんなには間違ってなかったと思いますが、時々教えてもらうこともありました。そんな時はすごく優しかったのに、噂によると、G先輩より怖い時代もあったらしい。
私も、いつか検印もらえるように、がんばろう。
総務は営業とは違い、数字はありません。
いろんなケースをこなして、課長などに認めてもらうしかないけど、
一個一個勉強したらいいんじゃないかな。
本当言うと、営業がつらくてつらくて、
もう気持ちが切れそうでした。
新人ちゃんを育てるのは楽しかったけど、自分の営業成績はよくないまま。
お手本がIさんなんだけど、タイプが違い過ぎて、とてもマネできない。どうしていいかわからない。
見かねて手を貸してくれた先輩もいたんだけど、
それも難しいし、後輩はいっぱいいいるし。
自己肯定感なんか、どこにもなかった。
ミスが続いて・・・。
というわけで、総務課にいきなりなりました。
時代ですねえ。今は、証券会社では現金は扱わないですもんね。
在職中にどんどんペーパーレス化が進んでいましたが、
私が総務をやってる時代は、まだまだ、紙。
職人集団のように、他の仕事にはタッチしないのが不文律でした。
そこにいないとわからない仕事が多かったからですね。
わりと総務課内の移動はあり、ジョブチェンジされてました。
Tさんも、私が入ったころは「本券」にいたように記憶しています。
Kさんは、元は営業で、私の同期のインストラクターでした。
そして、Kさんもまた、新人時代には先輩(例のリーダーですよ!)の関係で苦労したお人でした。
いろいろジョブチェンジしながら、全部わかれば、検印がもらえるわけですね。
Tさんは、先輩よりも早くに検印をもらっていたので、
やっぱりとても優秀でした。とっても姉御肌のお方でした。