平日に新聞を読む時間はわずか7.2分(総務省「令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」概要くすり×リテラシー2022年9月22日)という状況(!)で、新聞の意見広告にどれだけ影響力があるかは分かりませんが、10月18日付日経新聞朝刊に掲載された健保連の意見広告(健保連Twitter2022年10月18日)は「我が意を得たり」でした。

 

健康保険組合(1388組合)の令和3年度の決算見込の経常収支は8年ぶりに赤字になり、赤字総額は2750億円に上りました(健保連2022年10月6日)。健保組合の組合員は比較的若者が多い(≒病気になりにくい)のに赤字になる原因は、高齢者への拠出金があるからです。拠出金とは、後期高齢者医療制度(75歳以上)への支援金と、65~74歳の加入者が多い国保への前期高齢者納付金を指し、今後も増えていく(ため健保組合の財政はますます悪化する)見込みです。だからこそ健保連は、現役世代の保険料負担が大きくなりすぎることを危惧し、団塊世代全員が後期高齢者になる2025年(くすり×リテラシー2022年10月17日)が目前に迫る今こそ、全世代型社会保障改革を進めてほしいと訴えています。その通りだと思います。

 

国民皆保険制度を今後も維持していこうと思えば、低価値医療を漫然と続けている余裕はありません。先月発表された徳田先生や津川先生らの研究(BMJ Open. 2022; 12: e063171.医療政策学×医療経済学2022年9月10日)は、日本の急性期病院で低価値医療がどのくらい行われているかを定量的に示したもので、インパクトが大きいと思います。この論文をきっかけに、低価値医療を減らし高価値医療を増やすドライブが加速してほしいです。