富士フイルムは3月11日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として開発中のアビガン(一般名ファビピラビル)のフェーズ3試験(くすり×リテラシー2021年2月21日4月21日11月15日)の被験者組み入れを3月末で終了すると発表しました(富士フイルム2022年3月11日日経2022年3月11日)。

 

リリースによると「最近本治験に組入れられた患者のほとんどがオミクロン株感染者であると推定される中、現在の治験プロトコルで試験を継続しても、「アビガン」の重症化抑制効果の検証が困難になることや、プラセボを用いた試験継続は被験者の利益に繋がらないこと」が理由だそうです。つまりこれは、必要症例数が確保できたから終了するのではなく、これまでも被験者は集まりにくかったし、昨年12月にラゲブリオ(一般名モルヌピラビル)くすり×リテラシー2021年12月18日)、今年2月にパキロビッドパック(一般名パクスロビド)くすり×リテラシー2022年2月10日)が特例承認されてますます集まらなくなったから途中で終了するという意味です。日経記事にも「目標とする参加者数316人に届くメドが立たなくなった」とはっきり書いてありました。

 

せっかくプラセボ対照二重盲検RCT(前回のフェーズ3試験は単盲検だった、くすり×リテラシー2020年9月24日10月17日12月21日2021年1月20日)をやり直したのに、サンプルサイズ不足では有効性の証明は難しいのではないでしょうか。標的がどんどん変異していく感染症の薬を開発するにはスピードが必要だとつくづく思います。