2月10日の夕方に開催される第二部会で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の経口治療薬パクスロビド(商品名パキロビッドパック)が審査されます(審議事項)。たぶん滞りなく了承され、特例承認されるんでしょう。申請(くすり×リテラシー2022年1月14日)からの期間は先行するモルヌピラビル(商品名ラゲブリオ、くすり×リテラシー2021年12月6日12月18日)と同程度です。

 

昨日のNHKの報道(NHK2022年2月9日)では相互作用のため併用禁忌の薬があることを特記していました。パクスロビドが米国でEUAを得たときのFDAの医療従事者向け説明書によると、パクスロビドは薬物代謝酵素CYP3Aを阻害する作用があり、同じ酵素で代謝される薬との併用で相互作用が生じる可能性があります。リストの中には、カルシム拮抗薬(降圧薬)やHMG-CoAリダクターゼ阻害薬(抗コレステロール薬)などよく使われている薬もあるので、相互作用のチェックが必要になる患者はかなり多くなりそう。

 

(2022年2月10日追記)

特例承認されました(厚生労働省2022年2月10日)。併用禁忌薬がたくさんあります(プレスリリース+添付文書)。カルシウム拮抗薬や抗コレステロール薬(スンバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン)は併用禁忌ではなく併用注意でした。大臣発言概要は主に企業からの納品と医療機関への配布に関してで、2月27日までは院内処方のみだそうです。

 

(2022年2月12日追記)

パクスロビドの特例承認に伴い、日本感染症学会の薬物療法の考え方が改訂されました(COVID-19 に対する薬物治療の考え方 第13版 (2022年2月10日))。

 

(2022年3月21日追記)

パクスロビドの相互作用について、日本医療薬学会が手引きを発表しました(日本医療薬学会2022年2月28日pdf)。