米食品医薬品局は8月23日、Pfizer/BioNTech製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンBNT162b2を承認しました。商品名は日本(コミナティ筋注)と同じComirnatyです(FDA2021年8月23日)。適応は16歳以上で、12~15歳はまだ緊急時使用許可(EUA)の段階です。

 

米国では2020年12月11日にBNT162b2にEUAを与え(FDA2020年12月11日くすり×リテラシー2020年12月12日)、その後、Moderna製のmRNA-1273(FDA2020年12月18日くすり×リテラシー2020年12月19日)、J&J製のワクチン(FDA2021年2月27日くすり×リテラシー2021年2月28日)にもEUAが認められましたが、承認されたワクチンはありませんでした。ちなみにAstraZeneca製のChAdOx1 nCoV-19は、米国ではEUAが認められていません。

 

これだけ世界中で使用実績があるにもかかわらず、EUAから承認までに半年以上かかっているということは、EUAは本当に「緊急時だから使用を認める」という段階なのだと思います。それなのに日本では、米国でEUAが出た2カ月後の2021年2月にコミナティを特例承認し(くすり×リテラシー2021年2月12日)、あたかも承認されたかのようにばんばん使用しています。審査報告書(2021年2月12日)では、製造販売後もリアルワールドでのデータを集めて報告するよう企業に求めていますが、これは(特例承認ではなく)承認された薬でも求められることがあります。

 

レムデシビルの特例承認の折も議論になりました(くすり×リテラシー2020年7月27日)が、薬機法(第一四条の三)で外国で「販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列することが認められている医薬品」であれば特例承認できるとする規定は、なぜ「承認」ではないのでしょうか?