AstraZeneca製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン(AZD1222)と血栓症との関連(くすり×リテラシー2021年3月21日4月8日)について、ワクチン接種後に血栓症をおこしたケースシリーズ2報が、NEJMに4月9日に発表されました。

 

1報目(NEJM published April 9, 2021. DOI: 10.1056/NEJMoa2104840)は、ドイツまたはオーストリアで、ワクチン接種後に血栓症または血小板減少症をおこした11症例のケースシリーズです。

 

11人のうち9人が女性で、年齢中央値は36歳(範囲22~49歳)。致死的な頭蓋内出血を起こした1人を除いて、ワクチン接種の5~16日後から1つ以上の血栓イベントを起こしていました。内訳は、9人が脳静脈血栓症、3人が脾静脈血栓症、3名が肺塞栓症、4名がその他の血栓症(合計が10人より多くなっているのは1人で複数の血栓症を起こしている人がいるため)で、6人が死亡しました。発症前にヘパリンを投与されていた患者はいませんでした。また、2人の患者において、PF4またはPF4-ヘパリン親和性精製抗体を用いた追加試験により、PF4依存性の血小板活性化が確認されたとのことです。(日本語訳はDeepLのお世話になってます)

 

2報目(NEJM published April 9, 2021. DOI: 10.1056/NEJMoa2104882)は、ノルウェーでワクチン接種後に静脈血栓症と血小板減少症をおこした5例(37歳女性、42歳女性、32歳男性、39歳女性、54歳女性)のケースシリーズです。

 

うち4人は頭蓋内出血を伴う重度の脳静脈血栓症で,3人が死亡しました。溶血がなかったことと、血小板輸血への反応が良好であったことから、血栓性血小板減少性紫斑病と免疫性血小板減少性紫斑病は除外されました。PF4-ポリアニオン複合体に対する高レベルの抗体が5人に共通していたことから、自然発生的なヘパリン誘発性血小板減少症のワクチンに関連した変種であり、著者らはワクチン誘発性免疫性血小板減少症(VITT)と呼んでいます。

 

一方、日本では現時点でPfizer製のコミナティしか承認されていませんので、AstraZeneca製ではありませんが、副反応はやはり気になります。4月9日に開催された第55回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第1回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)で3月26日開催の第54回(くすり×リテラシー2021年3月26日)の続きが発表されました。

 

4月7日までに6例の死亡が報告され、うち4人が脳出血でした(資料1-3)。接種後のアナフィラキシーに関しては、2月17日から4 月4日までに350件/109万6698回接種(副反応疑い報告のうちアナフィラキシーとして報告された件数)報告され、100万回接種当たりに換算すると319件。ブライトン分類で評価すると79件/109万6698回接種(ブライトン分類で1~3)で、100万回接種当たりに換算すると72件でした(資料1-6)。