EMA(欧州医薬品庁)は3月18日、AstraZeneca製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン(AZD1222、くすり×リテラシー2020年4月9日、5月22日、7月21日、9月9日、9月10日、11月20日、11月21日、12月9日、12月30日、2021年1月24日、2月5日、2月13日)について、血栓症のリスク上昇との関連性はなく、益が害を上回るとの判断を示しました(EMA2021年3月18日、AstraZeneca2021年3月18日、NHK2021年3月20日)。
これを受けて、AstraZeneca製ワクチンの接種を一時的にストップしていた欧州各国(フランス、ドイツ、イタリア、スペイン)は接種再開を表明しました(BBC2021年3月19日)。
EMAのリリースによると、「欧州各国で3月16日までに約2000万人が接種され、血栓症のEMAへの報告はまれで、播種性血管内凝固症候群(DIC、血管内に無数の血栓がばらまかれた、凝固の反応が非常に高ぶった状態(日本血液製剤協会))が7例、静脈洞血栓症(CVST、脳に血栓ができる状態)が18例だった(These are rare cases – around 20 million people in the UK and EEA had received the vaccine as of March 16 and EMA had reviewed only 7 cases of blood clots in multiple blood vessels (disseminated intravascular coagulation, DIC) and 18 cases of CVST. )」とのことで、血栓を起こした報告の多くは55歳未満の女性だったそうです。
AZD1222は、治験段階でも一時的に中断したことがありましたが、このとき問題になったのは血栓症ではありません(くすり×リテラシー2020年9月10日)。
WHOの3月19日の声明(WHO2021年3月19日)でも、これまでのデータからは血栓症のリスク上昇は示唆されないとしています。