「クアントマニア」見る前に「ロキ」のおさらい。 | ぱんちゃんブログ

「クアントマニア」見る前に「ロキ」のおさらい。

どーもー。「クアントマニア」みる前にディズニープラスで「LOKI」みなおしました。やっぱおもろい。1話づつ重要キーワードを書き出してみた。その後「元型」を抽出しながらストーリーをまとめてみたいと思います。

 

第1話

四次元キューブでTVAへ、死をもたらすロキ、ロキは他の者(アベンジャーズ)の力を引き出す、ロキは王になれない、母殺し、サノスに殺されるはずだった、三匹の宇宙トカゲ、自分の死を知る、悪党であることを認める

 

第2話

ロキの変異体シルヴィ初登場(1985)、ロキは反抗的・頑固・予測不可能、タイムキーパーを知りたがるメビウス、ロキより賢いシルヴィ、ロキの承認欲求がシルヴィを捕まえる方法、TVA創設・時間の始まりと終わりは極秘、ラグナロク(滅亡)に変異体エネルギーなし、ラグナロク=水、滅亡では何もかも(時間軸)も破壊される、2050年ブルーベリーガム、ラヴォーナ(上司)とメビウス(分析官)、神聖時間軸爆破

 

第3話

肉体の接触から相手の記憶から幻を作り出すシルヴィ、ロキVSシルヴィ、最悪の大災害、愛とは短剣(鏡、空想、近づくと傷つく)、ロキとシルヴィは快楽主義者、ロキは快楽を楽しむ、シルヴィは快楽がストレス、世界の終わりを二人で見る

 

第4話

シルヴィ幼少期にTVAに捕まる、存在しない人物なのでどこにいても分岐が起きる・だから災害に隠れる、C20とラヴォーナは過去を知っている、自分に恋するロキ、TVAは全員変異体、タイムキーパーは心のないアンドロイド

 

第5話

いろんなロキ、虚無とアライオス、移送された分岐は虚無へ、全ての出来事が一点で衝突し合い分岐が成長しない場所、シルヴィ自分を剪定、死を偽装した老人ロキ、過去(こども)のロキ・未来(老人)のロキ・獣(ワニ)のロキ、アライオスの心を乗っ取る

 

第6話

カーンの城へ、最後に残るのは在り続ける者だけ、邪悪なミスミニッツ、探究の終わりの場所、ラヴォーナとメビウスの別れ、自分を恐れるカーン、31世紀宇宙は重なっていることに気がついて変異体に接触、アライオスを利用して時間軸をひとつにした(TVA創設)、境界線を超えた

 


重要事項だけ抜き出してみるとわかりやすくなる。以前の記事ではハリーポッターの物語を例にとり、「元型」は『トリックスター(自我)・男(生)・女(死)』の3つでいいと言った。

 

この物語のトリックスターは「ロキ」。神聖時間軸であるアベンジャーズが活躍する世界線では極悪人だったロキなのに、今回の世界線では善の側面が見え隠れする。悪と善をいったりきたりしながら自分自身を確立していくのがトリックスター。その過程が全6話に描かれている。

 

--------------------

 

第1話で中国のゴビ砂漠へ。世界を二つに分けると東洋と西洋であるが、内が東洋である。つまりそこは心の中。TVAは心の世界である。現実で死ぬはずだったロキはTVAに行くことで死を免れた。けれど生きたまま自分自身の未来の死を知ることにもなった。

 

ロキはTVA創設者「タイムキーパー」という心の根源にあるものを知る。彼らを「三匹の宇宙トカゲ」と表現するロキ。根源にあるのは悪。「悪」を蛇やトカゲやワニという『地を這う長いもの』で表現するのは東洋も西洋も共通である。

 

第2話で「元型」のひとつ「女」であるシルヴィが登場。ロキ(男)とシルヴィ(女)の出会い。第1話で自分自身の内に「悪」を見出したのなら次は絶対に「女」が登場する。「女」は「悪」そのもの。悪は女のひとつの側面に過ぎないけれど。

 

最初フードを被り正体を表さないシルヴィであるが、悪は謎めいていて恐ろしいもの。ロキはまだまだ「女(悪)」の正体を知らないということ。シルヴィはロキよりも賢いようであるが、そのことをロキは認められない。

 

女が男よりも賢いことは、ラヴォーナがメビウスの上司であることにも表現されている。TVAでは女キャラの方が強い。女(悪)はずる賢く生きるものである。

 

シルヴィ(悪)は逃げ続けていて、見つけることが難しい。けれどロキはシルヴィ(悪)が大災害に隠れていることを突き止めた。「悪」は大災害に直面したような精神状態でないと現れないということ。

 

ロキがメビウスに滅亡状態を説明する場面でサラダに水をかけていたが、水は全てを流すもの。滅亡が起きると全てはごちゃ混ぜになって消滅するのであるが、それを水で表現している。

 

思考の濁流の中から「悪(変異体)」を見出すのはとても難しい。人間は大災害のような混乱の中で精神状態をコントロールすることができないから。第2話の最後にはシルヴィによって「神聖時間軸」が爆破された。一度目の心の中の滅亡である。

 

第3話ではシルヴィの使う魔術が明らかになる。つまり女が幻想を作り出す存在であることが判明する。人の心を乗っ取り、操る。それが「悪(女)」のひとつめの正体なのである。

 

最悪の大災害が起きる場所でロキとシルヴィは戦う。「女」の正体が分かった上で、「女」と戦うことで見出せることがある。「女」とは男(ロキ)の鏡であり、近づいてしまうと傷つくものであるということ。

 

愛を「短剣」で表現していたロキであるが、それは悪の中(女の中)に善があることに気がついているから。女には「善」の側面もある、それが2つめの正体。第3話でロキは「女」の二面性に気がつきはじめるのである。

 

さらには男と女の違いも描かれていた。男性性は窮地に陥ってもそれを楽しむことができるが、女性性はそれを楽しめない。これは心(性)の性質である。そして、二度目の心の中の滅亡を二人で見届ける。

 

第4話ではシルヴィの出自が明かされる。つまりは「悪(女)」の始まりである。「悪」は人間社会の中では始めから「無いもの」とされている。わたしたちの社会は「悪」を無いものとしたいから法を作る。TVA(心の中)で「変異体(悪)」を排除するのと同じこと。

 

「神聖時間軸」とは『人間が苦しまず生きる為の世界』である。その世界にはアベンジャーズというヒーローが必要で、正義が悪を倒す世界。「神聖時間軸」として世界線を一つにまとめるのは『苦しみを避けたい』と願う人間のため。TVAは『正義が悪に勝つ』という人間の為の”正しい物語”を創り出しているのだ。

 

TVAによって幼少期に親元から引き離されてしまったシルヴィ。現実世界を生きるわたしたちは誰もが、卑劣で傲慢な「悪」をそうやって心の中から『無いもの(のけもの)』にしているはずだ。それでいいのだろうか?という問いかけをするのがトリックスターであり、のけものであるロキの重要な役割。

 

シルヴィが災害に隠れることにはふたつの意味がある。「悪」は大災害という心の緊急事態からしか見出せないものであることと、平和な精神状態であるときは「悪」を隠していること。滅亡で現れ、平和で隠されるもの。

 

C20とラヴォーナは女であるから、自分が「悪」であることを知っている。彼女たちが「神聖時間軸」を生きていない時、つまりTVAに管理される前の世界では「悪」の存在は当たり前だった。人間は「悪」を卑劣で恥ずかしいものとしているから日常ではそれを隠している。TVAの職員は「変異体」であったが、やはり人間はみんな「悪」。

 

「神聖時間軸」では「悪」の存在を隠すために「変異体」を剪定する。何かの間違いで、悪がヒーローになってしまったら大変だから。

 

「タイムキーパー」は心のないアンドロイドだった。機械の心は人間を苦しみから逃避させる為に「正義が悪に勝つ世界(神聖時間軸)」を創る。そんな真実が明らかになってしまったならば、もう後には戻れない。信じていた世界は崩壊するだけ。

 

第5話でついにロキは虚無の世界へ。そこは剪定された様々な自分に出会う場所。変異体の墓場である。

 

「全ての出来事が一点で衝突し合い分岐が成長しない場所」が虚無であるが、その意味について。「神聖時間軸」で正義と悪が衝突したとき、正義は生き残るが切り捨てられた悪は虚無に落ちる。正義の中からまた悪役が生まれるが、また切り捨てられる。

 

その繰り返しが起きるから虚無にロキたちが集合してしまう。物語は悪役だけでは話が展開しないから、虚無では分岐も成長しない。

 

虚無でアライオスから逃げ延び生きる彼らは、相変わらず権力争いをしている。けれど、子どもロキはロキに向かって「僕たちとは違う」と言った。トリックスターであるロキはシルヴィと出会い、悪の二面性を知ったからこそ、今までのロキとは違う。子どもは感がいいのである。 

 

シルヴィは自分自身を剪定し虚無に落ちた。この行為は、自分の運命を司る者を追うためにしたこと。つまり、女=悪とされた原因を知るために虚無へ。ここでまたロキと再開する。悪(ロキとシルヴィ)は存在が許されることがないから、虚無に行き着く。

 

シルヴィもロキも悪役としての自分に疑問を持ち続けるもの。同じ苦しみを持つもの。だからシルヴィの魔術は、ロキも使うことができる。過去の自分(子どもロキ)と未来の自分(老人ロキ)協力のもと、二人でアライオスを消滅させた。

 

アライオスとは何度も剪定されてきたロキたちの記憶の集合体。傷つきやすい心を守るために行った悪事が、さらに自分の心を傷つけてきた過去のこと。魔術で心のコントロールをすることで、また同じ悪事を行わないこと。シルヴィの魔術は他人を操るだけではない、自分の心を正しくコントロールするためのものでもある。

 

第6話ではついに探求の終わりの地、時間の終わりへ。探求とは「人間が悪について考えること」である。悪(女)に、二面性があることを発見したのならば、誰もが時の終わりを訪れることになる。

 

 カーンは普通の人間のように見える。けれど、31世紀という未来にマルチバースを見つけたから、運命を司ることができる。カーンはアライオス(傷ついた過去)を利用して「神聖時間軸」という、悪を虚無に送り続ける世界を創った。

 

「悪」という存在のために多次元間戦争が起きるのであるから『正義が悪を倒すという物語(神聖時間軸)』の中に人間を閉じ込める。傷ついた過去の記憶(アライオス)を利用すれば、人々を操ることができる。人間は傷つきたくない生き物。傷つきたくないから「神聖時間軸」に住まう。そこで、悪を剪定する業務を機械的に続ける。

 

傷つきたくない人間は、心をタイムキーパーという機械に捧げたのだ。機械は『正義が悪を倒すという物語』を人間に見せ続ける。それは幻想である。

 

『正義が悪を倒す』という物語を繰り返す世界。そんな流れる時間の中で、たまに災害を起こす。そして全てを忘れて、また同じことを繰り返す。

 

大災害は恐ろしいものだから人間は平和だけに注目する。傷つきたくないから、災害や滅亡のことを忘れたい。だからこそ、始まりと終わりが曖昧なものになってしまう。「悪」について深く考える人だけが「時間の終わり」に辿り着ける。そこで真実を知るのだ。

 

「神聖時間軸」は『正義が勝つ』という単純なシナリオであるからカーンは全てを決めておくことができる。そのシナリオの中で予想外の動きをするのがトリックスター。悪であったのに善を働くロキ。悪のロキと善のロキ 。それがロキとシルヴィである。

 

カーンの前に現れたのは予想外の二人。どちらも悪であるのに、新しい世界を望んでいる。だから境界線を超えた。一つであった世界が分岐を始めた。


終わりに辿り着くのも、始まりのきっかけも、『ロキとシルヴィという、のけもの』だった。時間の終わりで起きた始まり。

 

ロキが見つけた真実は、悪の内には善があったということ。悪だけだったはずの虚無から「新しい物語(分岐)」が始まるのである。三度目の心の中の滅亡が起きた。


第1話で根源は「三匹の宇宙トカゲ(悪)」と言ったが、孤独なカーンとのけものの2人がそれ。宇宙の果てで、「悪」をどうにかしようともがく3人が、やはり心(世界)の根源であった。

 

--------------------

 

とゆーことで、元型に注目した「ロキ」のまとめでした。トリックスターは必ず三度滅亡する。出雲大社の記事でも書いたのだけれど、日本のトリックスターはスサノオ。彼も三度滅亡した(死んだ)。子孫である大国主も同じく。三度目は死を偽装することになる。それは老人ロキも教えてくれたこと。


クアントマニアでカーンがどんな感じなのかが楽しみ。シルヴィが、女=悪とされた原因を知るのは「ロキ2」だろうか。シルヴィは納得できるかな。