2023年の冬、人生で初めて北海道へと旅しました。宿泊したのは虻田郡留寿都村のルスツリゾートホテル、修学旅行で二泊三日のスキー研修です。ホテルの玄関にバス停があったので、隙間時間に撮影を試みました。氷点下の中、重装備でカメラを構えていると、やってきたのは道南バスの洞爺湖温泉行き。札幌から二時間かけて留寿都村まで走り、ここからさらに50分かけて洞爺湖へと至ります。留寿都村は北海道でも屈指の豪雪地帯。九州に生きていると滅多に出会えない、雄大な北国の雪山が、360度広がっていました。

2023年12月3日撮影 道南バス札幌ー洞爺湖線

 皆野町の中心部にある皆野駅前のバス停は、駅前と言いながらも秩父鉄道の皆野駅からはちょっと離れたところにあります。秩父市とを結ぶ西武観光バス三沢線や関東屈指の秘境路線、皆野町営バス日野沢線などが発着する田舎の町のバス拠点です。建物は新しいですが、さびた「バス発着所」の看板が哀愁を誘います。バスを待っていると時折どこからか轟音が聞こえてきますが、これはセメント輸送の貨物列車が走っていくのです。大分では見られなくなって20年くらいたちましたが、セメント産業が栄えている秩父ではまだまだ元気です。もっとも、地元の人によると全盛期よりは衰退したようですが。

2023年8月18日撮影 西武観光バス三沢線

 山陰本線の阿川駅は山口の田舎の小さな駅です。駅前には小さな集落と、地元の人の営む商店が一つあるだけ。列車が来ても降りる人の姿も見えず、のんびりとした空気が流れています。ここから島戸という日本海沿いの集落に行ブルーライン交通のローカル線が出ています。海のように青いバスがのんびりと駅前に入ってきました。

2022年8月17日撮影 ブルーライン交通島戸線

 伊予鉄南予バスの久万ローカル線の一つ上直瀬線。四国山地に点在する小さな集落を一つずつ巡ってゆく、昔ながらの伊予鉄バスの雰囲気を残した古き良きローカル線です。その終点の上直瀬のバス停は小さなタバコ屋さんの軒先にあります。昭和の時代からあるであろうガラスのショーウインドーと、昔ながらの木製細長バス停が、令和とは思えない雰囲気を醸し出しています。上直瀬線を往復して自分以外に乗客はほとんどいませんでした。こんな雰囲気のローカル線はそうそう味わえるものではありません。いつまでも、いつまでも・・・。

2022年8月19日撮影 伊予鉄南予バス上直瀬線

 埼玉県秩父の最奥地、小鹿野町。秩父の中心部、西武秩父駅からバスを乗り継いで一時間以上かけてやっとたどり着くのがここ長沢です。渓谷沿いの小さな集落とわずかなスペースしかないバス反転場。ローカルバスの原風景ともいえる終点の景色です。私とともに一人のおばあちゃんが降りましたが、日傘をさして歩き始め、やがて森の奥へ消えていきました。この先にも住んでる人がいるというのが驚きです。

2023年8月18日撮影 西武観光バス倉尾線