どんな分野にもメジャー逆差別という風潮はある。
例えば超メジャーな大学である東京大学に対して
「勉強だけ出来てもしょうがない!」的などこから目線な発言とか。
ハリウッド映画に対して「予算ぶっ込んだだけの娯楽作品だろ?」的な評価とか。
音楽にもある。
超売れっ子アイドルに対して
「あんなん音楽じゃねーよ。CDは人気投票の投票券に成り下がった」みたいな発言とか。
ワシにも多少のメジャーな経歴があるからそういう謎の上から目線に晒されることもある。
特にライブシーンでは「メジャー」がバカにされる風潮は根深い。
逆に好きな音楽をやっている風のスタンスが良しとされる。
でも純粋に好きな音楽を100%追求できとる人なんてどれぐらいおるんだろうか?
ハンサム兄弟は全国のライブハウスシーンでは知らん人がおらんぐらいの知名度を得た。
でもメジャーに行くことを完全に拒否し、好きな音楽とアングラ魂を貫いた。
だでメジャーなCMやゲーム音楽もやったりしたけどハンサム兄弟をバカにされたことは記憶にない。
全盛期のハンサム兄弟は100%好きな音楽を追求できとったでね。
でもいわゆる末期になるとメンバー間のすれ違いが生まれ、好き勝手にやれんくなった。
逆にデブパレードはハンサム兄弟では拒否したメジャー路線を貫いた。
だでNARUTOとかで一般層には多少売れたけど、ライブシーンの一部からはバカにされたこともあった。
「どうせ魂売っちゃった系の人だろ」という上から目線。
でもデプパレードは事務所やレコード会社からのプレッシャーや大人の事情との駆け引きはあったにせよ、自分らがカッコいいと思える音楽を追求できたと思う。
でも末期はハンサム兄弟と同様にメンバーの思いがすれ違い解散に至った。
結局、メジャーもアングラも同じなんよな。
全国チェーンのお店でもめちゃくちゃ旨い店もあれば、個人店でも不味いお店はあるじゃんね。
茅ヶ崎にはライブハウスシーンがない。
だでハンサム兄弟は茅ヶ崎では一度もライブをやったことがない。
だで湘南の音楽シーンでのワシのイメージはメジャーな方が強いんかも。
「どうせメジャー系の人でしょ。プロデュースとかやっちゃってるし」という謎の上から目線は極々たまに感じる(笑)
アングラもメジャーも両方経験したバンドマンであるワシから言わせて貰えば、どっちも最高に楽しんだし、どっちにも苦労はあった。
むしろどメジャーの方がストレスも多かったし苦しんだかも。
でもその分いろんな経験もさせてもらったもんでプラマイゼロ。
つまり上下はないんよ。
闘う土俵が違うだけ。
キックルールとMMAルールでどっちが上とかないのと同じ。
ライブシーンにおらん人にはメジャーでの経歴の方が圧倒的に注目されるし、ライブシーンの人からはアングラでの経歴の方が尊重される。
どんな分野でも経験したくても経験出来んかった人からはひがまれる。
だでメジャー逆差別ってのも自然の摂理なんだと思う。
ワシ自身にもそういう感情は多少はあるでね。
でも若いアーティストにこれだけは伝えたい。
魂ってのは売りたくてもそんなに簡単に買ってもらえるもんじゃないってことを。
だで魂売ったって陰口叩かれるぐらいガムシャラにやったもん勝ちなんよ。
50代になっても音楽はガンガンやれるけど、若手時代にしか出来んことは沢山あるでね。
完全にアングラ魂を貫いたハンサム兄弟と完全にメジャー路線に振り切ったデプパレード。
その両極端の経験を融合するために今、ゴリラ人間ズをやっとる。
バンドをやり尽くしとるワシがまだバンドマンとしてやり残しとることがこれなんよ。
キャッチーなメロディーでラディカルな言葉を絶叫するという30年やってきたこのスタイルを更に突き詰め、バンド全体としてはジャズというキーワードの元にオシャレとカオスを両立させる。
それがゴリラ人間ズ。
そんなゴリラ人間ズで一番やりたい事を象徴しとる1曲がこの「正義の味方」なんかもな。
ワシのラディカルな言葉とキャッチーやメロディーの絶叫、バンドメンバーのアイディアから生まれた斬新なアレンジが融合してバンドマジックを生み出してくれる気がしとる。
まだ50歳。
とは言えもう50歳。
残された時間がどんだけあるかは誰にも分からん。
本気でやる最後のバンドになってもいいぐらいこのバンドが好きだ。
長生きしちゃうロックスターになるけどな。