卓球の醍醐味と言えば、ラリーの打ち合いを支えているフットワーク。



今回は、卓球のフットワークについて書いていきたいと思います。



全国の書店で売られている卓球教本の内容だと、基本的なフットワークの足の使い方は、1歩動2歩動3歩動ステップ、と大別されているかと思います。



分かりやすく説明している動画として、WRMの動画を引用。



この動画で説明しているフットワーク技術の種類は、以下の通りとなります。



1歩動→台上技術やレシーブ時、バックスイングを取らないカウンター打法等で使用。


2歩動→基本的なフットワークの動き方。


3歩動→2歩動では対処出来ないフォア側に振られた球を打球する場合の飛びつき等で使用。


ステップ→レシーブ前のスタートダッシュをしやすくするための予備動作。



以上のフットワーク技術で卓球を習った方が多いんじゃないでしょうか😅



ところが、2000年代半ばに入ると、当時現役だった平野早矢香さんが古武術の動きを卓球に取り入れて全日本卓球選手権で優勝したことによって状況が一変。古武術の動きの要素が卓球に入るようになりました。



が、中途半端に武術の要素をスポーツに取り入れてしまったがために、逆効果になって失敗した事例は少なくないかと思います。




そもそも、武術とスポーツは根本的な要素がまるっきり違います。武術は江戸時代よりも以前より発達した戦で生き残るために編み出された術であり、スポーツは決められたルールの元で行う競技です。



また、身体の鍛え方も使い方も、武術とスポーツでは雲泥の差です。



それでは、武術と武道はどうか。身体の使い方や鍛え方こそ似てはいるものの、存在意義が根本的に違いすぎます。



先程も書いたように、武術はあくまで戦で生き残るための術であるのに対して、武道は明治維新の流れの中で武術をベースにして誕生したものであり、ルールという鉄の掟を定めたものです。格闘技も武道と同様にルールという鉄の掟があります。



話はそれてしまいましたが、武術とスポーツの違いは何となく理解して頂けたでしょうか?



卓球に限らず多くのスポーツでは、膝を曲げて中腰になるケースは少なくない。そして、硬直した状態を解除するため、武術では忌み嫌う予備動作がどのスポーツでもほぼ必ず伴います。



予備動作を可能な限り排除してパフォーマンスを改善するために、スポーツ界では古武術の要素を取り入れるという流れがあるのではないかと思われます。



その結果、現在の卓球のフットワークは、1歩動、2歩動、3歩動、ステップ、といった従来からのフットワーク技術に加えて、抜重・荷重膝抜き抜き足浮身・沈身、といったスポーツ界では高難易度と言われる武術の要素が新たに加わったことによって、卓球のフットワーク技術はカオスな状態に陥ることになります。



そして、これらの新要素を加えたからと言って、卓球におけるフットワーク技術の根本的な問題点を解決するに至っていないのが現状です。なぜなら、古武術の動きを安易に卓球に取り入れているだけだから。



それでは、卓球におけるフットワークの何が問題なのかを考えていきたいと思います。



問題点その1

膝を曲げて中腰で構えている。


これについては、卓球に限らずスポーツ全般に見られる傾向ですが😅



これのどこが問題なのかと言うと、膝を曲げて中腰になることによって、大腿四頭筋に力が入って足が動かなくなるから。



通常、立っている状態だと、大腿四頭筋は力が抜けた脱力状態になり、この状態なら予備動作無しで歩行動作へ移行できます。大腿四頭筋がブレーキ役だと言われているのはそのためだと思われます。



にも関わらず、スポーツ全般で中腰の姿勢が多いのは、目の視野角の影響も少なからずあります。下半身は周辺視野で捉えられる角度には限界があり、限界以上の部分にあたる足の部分は死角になりやすい。可能な限り死角の部分を排除する必要性から、中腰で構えるケースが多いのではないかと思われます。



卓球の場合、下半身は卓球台によって隠された状態なので、手打ちか否かの判断は無理でかつ、足元の死角は卓球台で潰されているのですが、中腰で体勢を維持しているのは、打球点の高さを打ちやすい位置に程なく調整するために、目線がブレないようにするためではないかと予想しています。



問題点その2

かかとを上げてつま先で立っている。


私が中学に入って卓球を始めた頃、当時の顧問の先生はこの考えの信奉者でありました。どういう理由で、この方法を生徒に押し付けるようになったのかは不明ですが、新体操のつま先立ちを見て、この立ち方が正しいという催眠術にかかってしまったのでしょう。



このことに疑問を抱いた私は、図書館にある武道系の本を読んで調べていくうちに、この立ち方が間違いだということにいち早く気付くようになりました。



それで、その顧問の先生では卓球が強くなれないから、別の中学へ異動させろとお上に対して脅迫する毎日を過ごし、結果的に、その先生は某中学校へ異動させられましたとさ🤣



聞いた噂では、その先生は指導方法で問題が挙がったらしく、別の中学へ異動するのも時間の問題だった。某中学校出身の高校生たちの間では、その先生の悪評は有名だったらしく。異動人事の原因を作った私に対して、某中学校出身の人たちにはかなり恨まれました🥵



話はそれてしまいましたが、卓球の教本でもかかとを上げることを推奨する理由は、重心が前に移動することによって前傾姿勢になるから。前傾姿勢をすることにより、スタートダッシュが成功しやすいということなんでしょう。



ところが、前傾姿勢になると体の重心は前へ移動するため、お尻を後ろに出して重心を中心軸に戻さなければ身体が前に倒れてしまいます。



前傾姿勢を推奨するもう一つの理由として、目線を合わせる必要があるのではないかと思います。特に、小中高生は身長が伸びて体重が増えるので、体が成長する度に目線がブレていきます。捉える打球点の角度も違っていくことから、一度前傾姿勢をして基準点を作りながら、目線や打球点を捉える角度を微調整するためだと思います。



そして、つま先立ちは通常の立ち方と比べて、大腿四頭筋に力が入るため、余計に膝にロックがかかって足が動けないような状態になりやすいということになります。膝を曲げて中腰になる状態と絡むから余計に足が動かなくなる。足が動かなくなるということは、レシーブ時の対応が遅れてミスをしやすくなるということです。



私の場合は、今ではかかとは地面にペタッとつけた状態で構えています。今更、かかとを上げろという人がいたらフルボッコです。



問題点その3

正しいフットワーク技術の指導体制が確立されていない。



卓球をやっている人の中には、オールとかのゲーム練習や試合で足が動かないという感覚に陥って悩んでいるケースはあるんじゃないかと思います。



足が動けない原因は、中腰+つま先立ちによって大腿四頭筋に力が入って動けなくなることは先程も書いた通り。あるいは、予備動作によってスタートダッシュが遅れてミスをするケースが挙げられます。



これについては、指導者がフットワークの指導に関して放置していることも問題であり、上半身の打法技術ばかりの指導方法が最優先されてきた結果、今日に至るまでの間にフットワーク技術が他国よりも劣る原因を作ってしまったのではないかと思います。



問題点がある程度は判明したということで、対策を検討していきます。



対策その1

予備動作を可能な限り無くす。


中腰で構えている以上、つま先立ちの信仰が根強く残っている以上、膝がロックされた状態を解除する予備動作を可能な限り無くすことが必要になります。



特に、相手サービスからのレシーブ時は、相手がサービスを打つ時のトスを上げて打つ前に、予備動作が完了しなければ、スタートダッシュに失敗してミスをしてしまいます。



対戦相手がハイトスサービスを打つならまだしも、ボル選手のようにロートスサービスを頻繁に使う対戦相手の場合、足を動かす前の予備動作はかえって邪魔でしかないです。



つまり、ロートスサービス対策としては、構えの状態からすぐに1歩だけ足を動かす予備動作無しの瞬間動作という技術が必要になります。



対策その2

フットワークと打法を連動させる。


卓球では、打法技術とフットワーク技術を別枠で教えているケースはよくあるかと思います。打法は打法、フットワークはフットワークで分けて指導した方が生徒には理解しやすいからだと思われます。



しかしながら、現代卓球ではフットワークと打法が連動しないと、速いラリーにはついていけません。ジジババのカテゴリーでさえレベルが高い競技です。



ジジババが出来る、ということは、足の動きが遅い人でも、足の動かし方次第では上手く出来る競技が卓球だということです。そういうジジババは、足の動きと打法が連動しているから出来るのだと思われます。



卓球の動きに課題を抱えている人は、動き方と打ち方が連動しているのかを検証して、以後の練習に活かせば試合に勝てる確率は上がるのではないかと思います。



長々と話しましたが、今回は現代卓球のフットワーク技術の知識について書いていきましたが、次回は卓球のフットワーク技術の内容について書いていきたいと思います。