「・・・それはちょっと悲しい冗談だね。私が拓実君好きなのは拓実君もわかってると思ってたのに」
「お前の好きって気持ちと俺の好きって気持ちは根本的に違ってんだよ。お前の好きってのはあくまでもプラトニックな感情でってもんだろうけど俺は違う、肉体的なことも含めてってこと」
「いつかは肉体的な関係も持つわ。でも今すぐってのは止めてね」
「わかったわかった。話は終わったな、ちょっとトイレ」と言って出て行った。ちょっとホッとした。私の今の気持ち拓実君は理解してくれてだろうか?少なくとも拓実君はエッチな人じゃないから大丈夫だろう。もちろん私だってやりたいときにはやるって気もある。そのときそのときの気分次第になるだろうけど、
そんな感じでまゆっくりしてると戻ってきた。
「で、これからは清く正しく生きてく翔子ちゃん、俺とどう付き合いたいのかな?」幾分おちゃらけな気分で拓実君言ってきたものだから、
「私の理想な毎日送ってもらう。それこそE・L(Eternal Legend)みたいな毎日を」真面目に返した。
「お、次それ話してくれ、E・Lの中身。これまで見せてくれたこともないもんだし」
「E・Lは誰にも見せないし話さない。これは永遠に私だけの秘密」
「そりゃないだろ、ちょっとでも教えてくれよ。大体どこにも行かずずっと部屋で閉じこもりの毎日なんて想像できないわ。一体部屋で何してん
だ?」
「拓実君には想像できないでしょうけどずっと話してるの。話疲れたら眠るの。それの繰り返し」
「だから何話てんの、それ知りたい」
「まるでたわいのない話。出てくるのは優しさと楽しみに満ちた毎日。話すことは今日こんなことがあった、あんなことがあった、明日はこんなことする、あんなことする、それの繰り返し。そう、例えば嵐のコンサート行ったとかガスト行って何食べたとか、そんなどこにでもあるようなこと話し合う。それでお互い笑って次は一緒にどこ行こうとか言いあって時間が過ぎる。それだけの繰り返し」
「ま、その、取るに足らない話していってそれで満足できるの?ただ話するだけなんて詰まんないって思うけどな」
「いいの、それが私の中では一番大事なことだったの。誰にも邪魔されない、二人っきりの世界、そういうのってないものだし、だから気に入ってた」
「それって今の俺がいるときよかいいもんだった?」
「ううん、それは違う。今は拓実君といる方が楽しい。だからE・Lは滞っちゃった。もう何も書いてないし書けない」
「あー、良かった。お前がそんな想像の世界に引きこもってたら俺もガッカリだった。でもよ、」そうして拓実君手を出してきた。「ほら、お前も手を合わせろよ」言われたので手を合わせる。しかも両手だ。ぴったり合わさった両手。拓実君は男なので大きい手だった。「いいだろ、こういうのも」両手を合わせるなんて初めてのことだったし結構感動した。これも傍から見ればたわいのないことなんだろうけど嬉しさが募った。どこにでもいる二人だったけど、こんなことする二人ってのはないだろうって思った。
「拓実君、アリガト。これで私たちも一つなんだって思った。突然こんなことするからびっくりしたけど嬉しい」
「俺がお前の身体しか興味ないってことへの反論。これでわかったか?俺がお前の身体だけじゃなく心も求めてるってことを」
「よくわかった。拓実君てとても頼もしい人なんだって今更ながらわかった。もう何が起きても信用・信頼する♡」