「兄さんは俺らにも早くしろって言いたいわけ?それとも他に何か裏があるとか」拓実君
「いや、俺はお前ら急かすつもりはない。そんなのってお互いの息が合えばいつでもできることだし。拓実に訊きたいのはもうキスはしたのか?」裕輔さん
「キスくらいとっくに終わってる。セックスはまだだけどな」拓実君。良かった。あのときのことは伏せときたいし姉さんにも黙ってたい。
「私たちのキスってまだ2回くらいしかありませんけど、裕輔さんはもう何度もしてますよね?」私
「ハハ、翔子ちゃんもこうして見てみると大きくなったんだね。大学生になってから一層綺麗になってる。昔はちょっと暗かったけど今は元気な明るい女の子だね」裕輔さん。E・L書いてた頃だったらときめいただろうけど今は何も感じなかった。私の裕輔さんへの気持ちは単なる憧れだったんだ。キスのことはぐらかされてる。
「でしたら裕輔さんこそますます男らしくなってるって思います。高校の頃の裕輔さんてどことなくひ弱な感がありましたけど、今は全然男らしいって思います。第一あのときの告白は感動モノでした。私が裕輔さんの彼女だったらあのとき失神してたと思います」私
「翔子、あのね、私だってあんときは嬉しかった。他でもない裕輔から言ってくれたんだし。何よりも嬉しかった」姉
「私だって嬉しかったよ。裕輔さんと姉さんの仲は絶対壊れないし何が来てもビクともしない。そういう関係早く私も作りたい」私
「何だよ、俺じゃ頼りないってのか?これまで結構お前のことずっとフォローしてきたつもりだけどな」拓実君
「ううん、拓実君はよくしてくれてる。ただ、私たちに足りないのは時間に思う。もっともっといっぱいいろんな思い出作ってこうよ、そしたら私も姉さんみたいになれる」私
「時間か、そうだろうね。あんたたちって付き合い出してからまだひと月程度でしょ。そのくらいで恋人きどりってのもおこがましいって思うな」姉
「そうですね、よくわかりますよ。まぁ沙織さん、グイっといきましょう、グイっと」と拓実君は姉にビール進める。姉もそれに釣られて飲む。元々お酒は弱い姉だからジョッキ1杯でダウンだろうな。
「で、おぼこ(処女)ちゃん、私に何訊きたいのかな?私らのセックス話?」姉。おぼこちゃん!?酔ったんだろうか?姉らしくない言動。でも目が離せない。
「沙織ちゃん、私も酔っちゃった。おぼこの私にこれから何でも話してね」私。まだ酔ってもない私だけど姉に嘘ついて酔わせることが目的だから今はどうでもいい。
「翔子ちゃーん、あたしね、あんたのことずーっとずーっと好きなんだ。わかる?」姉。この口調だと酔ってる。
「沙織ちゃん、そんなの生まれてからずっと思ってたよ。沙織ちゃんは小さい時からずっと私のこと構ってくれた、それだけで十分だよ。そんな沙織ちゃんだーいすきっ」私。幾分私も酔った。でもいい、姉とならずっと酔っていたい。
「小さい時からいじめられてばっかりだった翔子、私が代わってあげたかった。いつも泣いてばかりだった翔子、私が代わってあげたかった。そんな翔子も拓実君って彼氏ができて嬉しい。誰よりもあんたたち祝ってあげたい」姉
「沙織さん、ありがとうです。言っちゃ悪いですけど俺らって今最高に思ってます。だってこないだウチの親にも翔子の親にも告白して了解もらってますから。沙織さんだってあと翔子のご両親に言うだけでしょ。もちろんOKってのわかってるし」拓実君
「姉さん、ありがとう。私がここまで来れたのは拓実君のお陰。彼がいなかったら私も高校時代と同じ毎日だったでしょうね。ま、いいから飲んで」私