「拓実君、行こ!」
「どこに?」
「いつもの居酒屋」
「へ?」
「今日はまりなちゃんの記念日。だから拓実君と飲み明かしたいの」
「あぁ、そうだな。行くか」
「うん、またいつもの金の蔵で」
「あー、ちょっと待ってて」
「どうしたの?」
「いや、せっかくだからさ、三鷹で店ないかと思ってな」
「三鷹か、いいね、酔いつぶれても問題ないし」
「ちょっと待ってな」拓実君スマホ取り出して三鷹の居酒屋探してる。そんなの見てるとおかしくなる。いつまでも子供って感じがする。
「フフ、拓実君、まぁだ?」
「なぁ、これどう?『酒道ハナクラしぞーかおでん三鷹店』っての」
「どれどれ」スマホの画面見るとおでん食べ飲み放題で2,980円か。いい、ここにしよう。「拓実君、OK」
「そう、よし、じゃ予約しとこう」そう言って予約する。私もウチに電話しとかないとね。今日は遅くなるって。食べてからにしよう。そのまま拓実君見てると、「こないだおばさんにおでん作ってもらったばかりだけどな」
「いいからいいから。今日は私が出すし」
「いいの?悪いな」
「たまには出さないと悪いでしょ。だから出します」
「サンキュー、お前って太っ腹だ」
「いいの。拓実君にはまたいつか出してもらうから」
「おぅ、いいぜ。何てったって時給950円の学童だもんな。多少は金も貯まる」
「フフ、そういうこと。じゃちょっと電話するね」
「どこに?」
「ウチ」
「あぁ、遅くなるっての言うのか」
「そう」そう言ってスマホから家に電話。出てきたのは姉だった。
『はい、小山内です』
『あ、姉さん』
『どうしたの?』
『今日ね拓実君と飲む約束したの、で、帰るの遅くなる』
『ふーん、拓実君とね』
『そう』
『・・・ちょっと待って。あの、私も行っちゃマズい?』
『え、姉さんが?』
『もちろん私だけじゃない、裕輔もつれてく』
『ちょっと待ってて』