苦海浄土/石牟礼道子 | 我が家の本棚

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大好きな読書について書いてます。
お酒や音楽、趣味のバレエ、鉛筆デッサン、ナンタケットバスケット関連話も時々。




こんにちは〜
立春ですね!



昨日は次男の療育で朝から都内へ 
今期担当の若い先生から
そういえば◯◯君は
何歳から通われているんですか?と
質問されて、そうですね…と振り返りました
初診は3歳
当時は予約を取るのが大変で
数ヶ月に1回しかチャンスがなく
人気アーチストのコンサートチケットを
取るレベルでリダイヤルを押しました
定期療育は数年待ち
2ヶ月に1回の不定期療育に2年程通い
小学校入学直前に
現在のクラスに入ることが出来ました
すんごい古株ww 来月20歳です
通っただけの成果はもちろんあって
今はどちらかというと
子供のため以上に母親同士の交流場
成人した子供達の今後について
相談したり情報交換したり
大切な時間です




さて真面目な本の話
面白い、面白くないとは関係無く
好みか好みでないかも関係無く
読んで良かったと心底思う作品に
時々出逢うことがあります

日本史上、絶対に忘れてはならない
公害事件であり
軽々しい発言は憚られますが
現実の悲惨さとは対照的な
石牟礼道子さんの綴る文章に
心を奪われました
なんと豊潤な日本語の世界

きっかけは読書仲間のマダムMさん
石牟礼道子さんを知っているかと聞かれ
お名前は知っていますが
水俣の本は読んだことがありません、と
お伝えしたところ
とにかく美しい文章に胸を打たれるから
ぜひ読んでみて、と渡されました
これは手元に置いておきたいと思い
借り本を読みつつ、自分用に購入しました


『苦海浄土』石牟礼道子著


水俣病の発見からチッソの裁判まで
被害を受けた住民と地域の様子、
病院や会社の対応など
長い年月、石牟礼さん自身が取材し
ノンフィクションではなく
あくまでも小説として発表した作品です

冒頭の、感染した少年の姿と
家の周囲の自然描写を読んだだけで
涙がとまりませんでした
なぜこのような酷いことが起きたのか
憤りを通り越して
絶望的な気持ちになります
会社側が事実を認めたのが遅すぎる
かといって生活の基盤が会社にある
地域住民の複雑な感情を否定は出来ない
でも次々に水俣病で倒れる人々の
本当に壮絶な病状を知ると
一体これはどういうことなのか!と
怒りの感情しか湧いてきません

水俣の海の穏やかさや豊かさは
神々しいまでに美しく
光や風が通り過ぎる静かな漁村の風景は
工場が建設されなければ
ずっとそこにあったはず

水俣病については教科書で習った以外
漫画『ブラックジャック』の何巻目かで
読んだ記憶しかありません
何も知らなかった、と痛感しました
読みたいと言ってくれた友人に
買った文庫を貸し出し中
彼女がどう感じたかを聞いてみたいです