愛の領分 / 藤田宜永 | 我が家の本棚

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大好きな読書について書いてます。
お酒や音楽、趣味のバレエ、鉛筆デッサン、ナンタケットバスケット関連話も時々。





2020年に肺がんでお亡くなりになった
藤田宜永さん
奥様の小池真理子さんの作品は
何冊も読みましたが
ご主人様の小説は初めて
2001年直木賞受賞作品です

率直な感想は、上手!!
↑決して上から目線ではありません🙇‍♂️
中年の男女の恋愛話
この歳で読んだのが良かったのかも



『 愛の領分 』藤田宜永著





男手ひとつで息子を育ててきた
テーラーの淳蔵の元へ
28年ぶりに友人の昌平が訪ねてきます
かつて昌平の妻、美保子に横恋慕を
していた淳蔵は
重病の妻に会いに来てほしいと
懇願する昌平に戸惑います

信州上田へ赴いた淳蔵は
昌平と美保子の真意を汲み取れぬまま
スーツのオーダーを受け
30年帰ることのなかった故郷への
往来が始まります

名旅館の若旦那であった淳蔵
旅館を買い取った社長の息子で
その旅館を手放し紬工房を営む
昌平と妻の美保子
旅館で働いていた太一
太一の娘で訳ありの美女、佳世

若かりし頃の淳蔵と昌平と美保子の
エピソードを挟みつつ
中年の男女のややこしい恋愛感情が
巧みに描かれていて
ついつい読み耽りました

全員幸せに向かって歩んでいるようには
見えませんが
精一杯生きていることは伝わってきて
歳を重ねても達観などしない、出来ない、
嫉妬も妥協も諦観も欲望も
そのまま脳内、体内に
居座り続けるものなのか!?
と驚きつつも素直にそう思いました

淳蔵と佳世の逢瀬のシーンは
藤田宜永様の経験値の高さが
如実にあらわれていると思われ笑
また下品にならないところに
育ちの良さを感じた次第です

それにしても
内容に好き嫌いはあると思いますが
読み易い文章でした
おしゃべり好きだったそうですが
なんだか分かるなー