始まりの木/ 夏川草介 | 我が家の本棚

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大好きな読書について書いてます。
お酒や音楽、趣味のバレエ、鉛筆デッサン、ナンタケットバスケット関連話も時々。






こんにちは〜


悪天候とコロナの影響で
日程が変わりまくりの高校野球

先日の大阪桐蔭対東海大菅生の試合は
なんとも切ない幕切れでしたし
コロナ陽性者が出て辞退した
宮崎商や東北学院の選手の皆さんの
無念さを思うといたたまれない気持ちです

試合と試合の間に流れる
「白球の記憶」で紹介される
過去の名試合を見ながら
いつかこの事態が収束した暁には
必ず甲子園へ観戦に行くぞ!と
意気込んでおります
今回は長崎商業推し♫





友人の勧めで購入した一冊は
民俗学を学ぶ学生さんと
偏屈准教授の旅物語
とても良質な作品でした


『 始まりの木 』夏川草介著


東々大学の大学院生
藤崎千佳は
民俗学研究の権威であり
師匠でもある古屋神寺郎の
荷物持ち兼、使えない?助手として
彼と共に日本各地へ赴きます

古屋の堅物ぶりと嫌味たっぷりの
言動はかなりキツいのですが 
千佳は怯むどころか物怖じせず
堂々とやり合う強者 笑

古屋は自身のライフワークとして
古来の日本人の有り様と
神との関わり方を研究しています
非常に興味深い考察が沢山出てきて
古屋と千佳が旅した場所を
訪れたくなりました


5ヶ所のお話は以下が舞台
①寄り道…青森県弘前市嶽温泉、岩木山
②七色…京都市岩倉・鞍馬、叡山電車
③始まりの木…長野県松本市、伊那谷
④同行二人…高知県宿毛市
⑤灯火…東京都文京区

古屋の言葉でたびたび
日本人の想う神様と
西洋人の想う神様の違いが語られます

「西洋人の神はより人間的である。」

「私が言う神とは迷える子羊を導いてくれる
慈悲深い存在ではない。弱者を律し、
悪者を罰する厳格な審判者でもない。
たとえ目に見えなくても、人とともにあり、
人とともに暮らす身近な存在だ。
この神は、人を導くこともあれば、
人を迷わせたり、人を傷つけることさえある。
かかる不可思議な神々とともに生きていると
感じればこそ、この国の人々は、
聖書も十戒も必要としないまま、
道徳心や倫理観を育んでこられたのだと
私は考えている。」

ここ何年か夢中のアイヌ文化にも通ずる
どこにでも神は宿っているという考え方は
昔の日本人も強かったようです
読み進めていくうちに
現代で失われつつある大切な考え方を
古屋から改めて教えてもらった気持ちです
難解なお話はひとつも出てきません
シリーズ化希望です!

千佳の明るさと逞しさは笑えます