ベルリンは晴れているか/深緑野分 | 我が家の本棚

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大好きな読書について書いてます。
お酒や音楽、趣味のバレエ、鉛筆デッサン、ナンタケットバスケット関連話も時々。








2019年本屋大賞ノミネート作
第160回直木賞候補作
2019年版「このミス」国内編第2位

↑帯にこれだけ眩しい宣伝文句が
並んでいるのに300円で売ってました
単行本の価格設定に
多少心配はよぎりましたが
時間もあることだし読んでみるか!と購入
初読みの作家さんです

なかなか進まないーーー泣
辛抱して読んでいくと
真ん中あたりから物語が加速
やっと入り込めたと思ったら
ミステリーの部分のラストは
さほど込み入っておらず、あれれ?



『ベルリンは晴れているか』深緑野分著


第二次世界大戦終戦直後のドイツ
米英仏ソ4ヵ国の占領下にある
ベルリンが舞台です

家族を失い米軍の兵員食堂で働く
17歳のアウグステが主人公

彼女はかつての恩人である音楽家を
毒入り歯磨き粉で殺したのか?
ソ連の占領軍から事情聴取を受け
もちろん否認しますが
亡くなった音楽家クリストフの甥へ
訃報を伝えるために
彼の住む街へ向かう、というお話



殺人事件の謎解きと
戦時下から戦後までのベルリンの変遷史です
ナチスの台頭で街が
どのような空気に染まっていったのか
どのような終わりをむかえたのか
とても丁寧に描かれています
ユダヤ人への弾圧や
優生思想に感化されたアーリア人の振舞い
反ナチのドイツ人への仕打ち
美しい街が破壊されていく様子
どの描写にも憤りしかなく
戦争がいかに愚かなことか
痛いほど伝わってきます

一方でミステリーとしては難しいところ
ようやくストーリーが動き出して
面白くなってきたと思ったら
ラストに肩透かしをくらいました
犯人探しをしていたソ連兵の事情に
物足りなさを感じてしまい
犯人が分かってもスッキリせず

大絶賛なさっている方も
たくさんいらっしゃる作品です
私は★3つ、かなー