木暮荘物語 / 三浦しをん | 我が家の本棚

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大好きな読書について書いてます。
お酒や音楽、趣味のバレエ、鉛筆デッサン、ナンタケットバスケット関連話も時々。


 


近頃の読書生活
去年よりは良いペース
色々読了しております


ちょっぴりご無沙汰の
三浦しをんさんです


「 木暮荘物語 」


世田谷代田にある
古い木造二階建ての木暮荘
全6室、オンボロアパートが舞台

住人をメインに7編の物語で構成されてます

⚫︎シンプリーヘブン
住人の繭が、現在の彼と数年ぶりに
あらわれた元彼の間で悶々とします
彼氏の伊藤さんが素敵です
元彼の並木も良い男性ですが
放浪するカメラマン(汗)

カメラマン、劇団員、ミュージシャン、詩人
どれも魅力ある職業でしょうが
この類の言葉に用心しがちなもので 笑
繭の揺れ動く心情に喝を入れたくなりました
うん、でも、若さって素晴らしい!


⚫︎心身
老人大家の木暮さんが、70歳を過ぎて
突然無性にセックスしたくなるお話
まさにしをんさんの真骨頂
木暮さんが真剣なだけに多少切ない
だけど、笑いました(>_<)いやぁ、可愛い
人って年齢や性別や職業と関係なく
承認されたい生き物なんでしょうね


⚫︎柱の実り
トリマーの美禰は通勤で利用する
世田谷代田駅の端っこにある
柱を撫でるのが日課
ある日、柱に出っ張りが出来ているのを発見
この突起∑(゚Д゚)すごい形なんですよ
柱のそばで出会ったヤクザの前田と
親密になっていく美禰
2人の悲しい過去、、、

突拍子もないお話でしたが
大人のファンタジー
前田の優しさにグッときました
 

⚫︎黒い飲み物 
繭が勤める花屋のオーナー、佐伯夫妻
妻が夫の不倫を確信し
驚くような行動に出ます

正直こうはなりたくないです
  

⚫︎穴
木暮荘の2階の住人、神崎
彼は隣室の空き部屋の畳をあげ
真下に住む女子大生の部屋を覗くのが趣味

床に張り付き覗きに明け暮れる神崎の
滑稽な日常
気持ち悪くて呆れましたが
彼の心境の変化に苦笑( ,,>з<)

女子大生のおおらかさがわからん!  


⚫︎ピース
神崎に覗かれている女子大生の光子
男性にだらしないように描かれてますが
光子には複雑な事情がありました
このお話は良かったです
赤ちゃんが出てくるのですが
ふわふわ甘い香りが漂い
泣けました 

ほんの一時期しか嗅げない
乳児のミルクの香り
たまらんです


⚫︎嘘の味
これ、一番好きかな
繭の元彼、並木と
繭の花屋に通うニジコさんの
偶然から始まる共同生活

ニジコさんの特技は
人の作った料理を食べると
その人が嘘をついているか
その人が浮気をしているか
わかってしまう!という妙技
そんな訳で
食べるものは自分で作る主義
並木にも食事を作り一緒に食べ話し
暮らしていくうちに
信頼関係が生まれます

ニジコさんの他人に対する
あっさり淡々とした距離感 
いいんですよー



しをんさんらしいお話でした
性の話題が多かったけれど
あっけらかんとした表現で
生々しさはありません
一等賞ではない佳作??的作品か