素直クールの憂鬱
作者:ID:i5R5okzH0
川 ゚ -゚)「(今日は私の誕生日会・・・楽しみだな)」
クーは今の嬉々とした気持ちから、それとはまるで反対の、ある一つの想像をした。
もしもの話である。
今日の誕生日会で、何かの拍子に、友人の誰かと、もしくは友人全員と仲違いをして
私が癇癪から、誕生日会を残酷に終わらせてしまったら、全体どうなるのだろうかと。
友人からの贈物を無惨にし、部屋を賑やかす飾りや、絢爛たる食卓を滅茶苦茶にしたらば
それはあまりにも悲しい結末になると思った。そして、その時の心情を思った。
クーは時折、このような陰鬱な想像をする。
気持ちが良い方向へ向かうとき、それとは逆の、良くないことを考えてしまう、一種の癖のようなものがあった。
楽しみや喜びを、それに汚されることが不愉快だった。
それはしばらくもすれば、また元の気持ちに戻るが、難儀なことには違いない。
クーがまだ八の頃のことだ。ある時、母は機嫌良さそうにしていた。
母は、クーが特別に何かをしたわけでもないのに、唐突にクーを撫でた。
J( 'ー`)し「クーや。私のかわいいクーや」
撫でられたことと同じくらい唐突に思ったので、クーは怪訝の入り混じった返事をする。
川 ゚ -゚) 「なあに?お母さん」
J( 'ー`)し「今日は、何か食べに行こうかネ」
川 ゚ -゚)「どうしたの?何かいいことでもあったの?」
J( 'ー`)し「うんうん、実はね、お父さんからね、便りがあったのサ」
クーはある程度合点がいった。
父は仕事の都合で、クー達が暮らす所からうんと離れた場所にいるが、便りは定期的にくれた。
母は、その度に、今のように機嫌が良くなるというわけでもなかったので
おおかた、とびきり良い報告か、そうでなければ、よほど気の利いた言葉でも書いてあるのだろうと思った。
川 ゚ -゚)「そうなんだ。それで、何て?」
J( 'ー`)し「あのね、今度の連休に、お父さんが帰ってくるんだよ」
川 ゚ -゚)「お父さんが!?」
クーは思いがけぬ吉報に、思わず柄にも無く良い笑顔になる。
成程母が舞い上がるわけだ、と思った。
しかしその時に、やはりあの不愉快な想像がやってきた。
クーは不愉快に思ったが、想像はより如実になっていく。
もしも、自分がその報告に、いかにも苛立ったような振る舞いをすれば、母はどう思うだろうか。
父親が帰るなり、露骨に嫌悪を表し、ろくに口も聞かず、そのまま連休が終わってしまえば
父はどれほど悲しい気分のまま行ってしまうのだろうか。
また、そうなった時の母親の落胆はどれほどのものだろうか。
しばらくの間、そんなことを考えていた。しかしその結末を期待しているわけではない。
何故そんなことを思うのか、どれほど考えても解明には至らない。
クーは、病でも抱えたような複雑な気分のまま、母の嬉々とした調子に合わせるしかなかった。
クーは、もう10年あまりも続いてる自分のこのような性質を、何かの病気ではないかと思っている。
以前に、友人に相談しようとも考えたが、下手をすると
妙な目で見られてしまうのではないかと恐れ、聞けず仕舞いに終わった。
精神病院で診てもらうことも、やはり躊躇った。
もしも診てもらったとして、何らかの、悲しい宣告を受けたとき
母へのその説明を避けることはできないからだ。
そうなった時の、肉体的な病気の場合とは違う特殊な形の悲しみ方をする母親を見るのは、想像上でさえ辛いものがあった。
なにより、件の悩みで病院へ行くということは、決定的な形で自分の異常を認めることになる。
クーはそれを嫌がった。
気持ちでそれを認めていても、やはり形として認めてしまうことは、今の自分を切り離すことのような思いがあった。
とにかく様々な心情から、クーは真実を恐れた。
( ^ω^)「クー!何をぼんやりしてるんだお?」
不意に、友人のブーンが声をかけてきた。
信頼のおける友人の声が、僅かに明るい気持ちを与えてくれる。
( ^ω^)「主役がいないと始まらないお!はやく行くお!」
川 ゚ -゚)「あ、ああ、すぐに行く・・・」
あの想像は、最早どこかへいってしまった。
それでもクーは、これからも付き合っていかなければならないであろう性質を思うと
依然として嫌な気分から脱け出せない。どうすることもできない。
クーは憂鬱に捕らわれたまま、誕生日会の舞台である自宅へと向かった。
おわり
投下後の批評・雑談
669 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/29(木) 23:37:48.77 ID:3R5tr9BT0
乙
改行をしてほしかった
671 名前:素直クールの憂鬱[] 投稿日:2007/11/29(木) 23:42:00.71 ID:i5R5okzH0
支援さんくす
改行はまだ所々変だね、早く慣れるようにします・・・
クリスマスの日に、俺は一人で雪を降らせる
性的な意味で